デザーム、小さな声で彼の名前を呼ぶと彼はそっと私の手を握ってすまない、と言った。
涙がほろり、零れた。

「嫌よ」

そう言うとデザームは私の手を強く握った。
そして反対の手で涙を拭ってくれた。
デザーム、また小さな声で呼ぶ、彼はにこりと笑った。
そして、すまない、お別れだ。とだけ言って、シャボン玉が弾けるみたいにパッと消えた。
さっきまで繋いでいた手が冷たい風に晒される。
ねぇデザーム、寒いよ、寂しいよ。
涙がぽろぽろ零れてきて、止まらなかった。

「デ、ザーム、」

彼の名前を呼んでも彼はもう私に声をかけてくれない。

――――――
短い。