最初はただ、純粋に友だちとして好きだった。
一緒にいると面白くて、からかったりした時の反応とか、とにかく飽きなかった。
自分は意外と飽き性だと自覚している、続いてるのは女装くらい、女装がなんで続いてるのかは謎だ。
まあ、とにかく他のことはあんまり続くことはない、それはスポーツだったり、習い事だったり、友情、だったり。
ぶっちゃけた話、実家が医者で金があるし、容姿もひどくない、むしろいい方だと思っている、兄貴も中身はあれだが黙っていればいい容姿、双子の俺も同じ。
だから言い寄ってくる奴も結構いた、完全に金目当ての奴もいた、コネ目当てとかもいた、でも幼い頃の俺はそんなことはわからずに、周りの言葉を鵜呑みにして、周りを信用して、信頼して、友情を築いたつもりでいた。
しばらくして、真実を図らずも知って、それからなんだかわりと友情とか馬鹿馬鹿しくなって、気を使わなくなって、作り笑いも止めて、言いたいことを言えば周りには誰もいなくなっていた。
兄貴は『美人の無表情とか怖いもん、昭吉は目つきも悪いし』などと褒めてるのか貶しているのかそれとも他に何か意図があるのか意味のわからないことを言われた。
とにかくこちらも周りに心など開かないし、だからこそ周りも察して深くは関わってこない、友だちだと呼べる奴はまあほとんどいない。
飛鷹に『お前変人だよな』などと言われたがそれも友だちがいない要因のひとつなのかもしれない。
まあとにかく、何事も続かない俺が珍しく、跳ねるみたいに歩く姿とか、知り合いを見つけてすっごい早さで追う姿とか、躓いて恥ずかしそうにする姿とか、最初は軽い観察のつもりが気がつくとずっと目で追ってた。
それでにやけたり、うららんうららん、とべたべたする兄貴に無性にイラついて殴ったり、最近の俺はおかしい。
考えれば考えるほど俺は、この子に、恋を、しているみたいだ。

「だめだなこりゃ」
「どうしたの?」
「いや、本気だなって思って」
「なにが?」
「さあ」
「?」

意味がわからないと首を捻る姿にまで心臓が高鳴るんだから不思議だ。
さてこの想いどうしたものか。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -