「田中?」
俺はこいつが好きだ、でもそれは友達としてだ、本当に、いるかいないかわからないが神様とやらに誓ってもいい。
「ん」
だから有り得ないのだ、こいつに恋人が出来たことで悲しいというか寂しいというか、ただただ、泣いてしまいそうだとか思うのは。
「どうかした?」
「別に、あー夕飯何にしよ」
「肉じゃがは?」
「昨日作った…あ、残った肉じゃがをコロッケにすっか」
「おー!主夫!」
けらけらと笑うこいつの幸せを祝う言葉はもう言った、感情がこもっていたかはわからないが。
大好きだと公言していた鈴木の方が心から祝っていた気がする、なんというかあいつはいい奴だ。
俺は
「田中」
「ん」
「私、幸せ」
「おー、よかった、俺にもわけてくれ」
「ほらよ!」
「ははっ」
俺は、弱虫だ。
卑怯者だ。
「あー」
隣で笑うこいつを攫ってやりたい、だなんて。
「言える訳ない」