「なんだこれは」

何故だ、彼女から渡されたモノを見た瞬間から震えが止まらない。
なんだこの俺の手の中で怪しく黒光りしている円形の物体は、未確認飛行物体か?いや飛行物体ではないよな、飛ばないよな、誰か飛ばないと言ってくれなんだか自信がなくなってきたすごく怖い。
本当にこれは何なんだ、生命体ではないよな、冷たいし、動かないし、今にも動きそうだが。

「えー、わかってる癖に」

わかんねえから聞いてんだよ!
落ち着け、落ち着いてこの物体を観察して答えを出そう。
俺が今まで読んだすべての文献の記憶を呼び起こし検証等して答えを、いやでもすごく怖いなんだこれ中から宇宙人が出てくるんじゃないだろうか、いや待てそれならいいとても興味深い家で解剖しよう。
解剖に必要そうなものを帰る途中で買ってすぐ解剖しよう、鮮度が命だろうし、いや鮮度ってなんだそれ。

「い、今食べてもいいよっ」
「なっ」

食べ、食べ物だと!?
嘘だ、いやいやいや。
ない、それはないだろう。
だってこいつ黒光りしているんだぞ?
円形で黒光りって文章だけならばなんだか違うヤバい奴なんだぞ、無理だろ、食えないだろこれは。
百歩譲って、いや千歩譲って食べ物だとしよう、ならどこの国の食べ物だよ。

「美味しい、と思う。日吉、それ好きだし」

俺はこんな物好きになった記憶がない。
蓼食う虫も好き好きだとか言うが蓼の方がマシに見えるくらいの代物だぞ。
いや蓼も食べたくはないが、絶対食べたくはない。

「!」

まさか毒!?

「お前…」
「なっ、別に違うの、あ、違わないけど」
「…そうか」

そんなに恨まれていたのか、心当たりはあるようなないような。

「っホワイトデー期待なんかしてないからね!!」
「は」

叫び、走り去る背中をぼんやり見つめながら今日の日付を思い出す、バレンタインか。

「しかし」

この物体は、なんなのだろうか。

「あれ?日吉?」
「鳳か、いいか鳳、好きなものと好きなもの、いや、うまいものとうまいものを足したって良いものが出来るとは限らない」
「え?あ、うん?」

ぬれせんべいにチョコレートコーティングはいただけなかった。
一応残さず食べたがもう二度と食べたくはない。

―――――
ぬれせんべいのチョコレートコーティングはまずいのか美味しいのかわかりませんが私はちょっと嫌です、好きな人がいたらごめんなさい。

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