幼馴染みの桜が久しぶりに遊びにくる、私は嬉しくて嬉しくて気合いを入れて部屋を掃除した。なのに。
桜は結局来なかった。
お母さんが言うには野球で忙しいらしい、確かに忙しいとかメールで言ってたけど、寂しい。
桜は私の気持ち全然わかってない、この前なんか私に『可愛い女の子紹介して』とメールしてきた。ふざけんな、と携帯をベッドの上に投げ付けて壊しかけた。ベッドの上に投げ付けてなかったら絶対壊れてた。
私は小さい頃から桜を大好きなのになんで桜は気がつかないの、おかしいよ。

「いっそ呪い殺してやる」

「誰を?」

「桜をってうわあああさっ、ささ桜」

ベッドの上から落ちた、痛いかなり痛い。

「なんで俺呪い殺されなきゃいけないのさ」

ヘラヘラ笑う桜、なんで居るの、と聞けば寂しがってると思ってと答える桜。

「さ、寂しがってなんかないし」

「嘘つき、お前のことならなんでも知ってるよ」

私に手を差し延べる桜、その手を払って立ち上がる、桜は苦笑いしていた。

「知らないこともあるよ」

そう言ってベッドに座る、桜もちょこんと私の隣りに座った。

「好きな子のこと知らない男なんかいな…あ」

「好きな、子?」

「わー、なしなし、今のなし!」

桜は両手をぶんぶん振る、私は口をだらしなくあけてそんな桜を見ていた。

「忘れて」

「やだ私も好きだもん」

「…うそ」

「知らないこと、あったね」

そう言って笑えば桜もああ、と言って笑った。
キスしていい?と桜が聞くのでいいよ、と答えるとちゅとキスされた。
一度キスしたら桜はごめん止まらない、と言ってまたキスされた。
またキス、キス、キス。
本当にお互い止まらなくなっちゃって何度もキスした。

「ごめん、ほんと、止まんない」

「いいよ、私、嬉しい」

ニッコリ笑うと桜ははあと溜息をついた、私は何かと思うと、あんま可愛いこと言うなよ、本当に止まらなくなる。と言った。

「ばか」

そう言って胸を叩けば桜はニッコリ笑った。