朝、登校中、たまたま征矢に会って一緒に登校していたら田中が後ろから声をかけてきた。

「よー田中!」
「おー」

走ってくる田中を見て私は昨日見た怖い夢を思い出してしまった。

「ひいぃっ」
「え?」
「大丈夫か!?」
「ごめん、怖い夢を思い出して…」

がたがた震えてしまう、二人は心配して優しい声をかけてくれた。
学校についたらだいぶ落ち着いたが悪夢は未だ鮮明に頭に残っている。

「どうしたの?天使元気ないね」
「鈴木、怖い夢見たんだってさ」
「怖い夢は午前中に人に話すといいって言わない?」
「そうなの?」
「いや、わからない、多分…でも話すと楽になるかもよ」
「取りあえず話せよ」

征矢に言われて私は悪夢の内容をみんなに話す事にした、声が震えてしかたない、でもゆっくりと話した。

「村井くんが…半裸で追って来る夢…」

みんなの空気が変わった、どうしよう村井くんが悪者みたいになっちゃう、急いでフォローしなきゃ。

「だ、大丈夫!上は着てたから!」
「(下がでてたの!?)」
「(下!?)」
「(下が!?)」
「(あれ?私今なんて言った?ちゃんと下は着てたからって言ったよね?)」
「おはよううららん!あと生徒A、B、C」

タイミングが悪い時に村井くんが来た、みんなかたまったまま、私は村井くんに逃げた方がいいかも、と言う。
村井くんは首を傾げた。

「殴る!蹴る!」
「僕は……た、叩くよ!」
「村井逃げて!超逃げて!夢と現実の区別がつかないのはお前だけじゃなかった!」
「なんだい田中くん僕は現実を見て…ぶっふあ!」

村井くんが殴られた、もちろん征矢に。
鈴木くんが遅れてぽかぽか叩いていた、何故か女の子みたいにみえた。

「な、なんだよ〜…誘拐は未遂だよ!」
「下半身露出魔が何を言う…」
「は?」
「天使の心は傷ついている!」
「そうなのか?」

田中に聞かれて怖かったけど夢だし大丈夫、だと答えれば田中は鈴木くんにだってよ、と伝えた、が鈴木くんは無視した。

「そして僕の心も傷ついている!」
「何故鈴木の心が傷つく!」
「同感!」

田中と私のツッコミを無視して村井くんがぼこぼこにされていく、しばらくしてなんだか可哀相な村井くんが出来上がっていた。
ごめんね、と村井くんに言えばわけがわからないと村井くんは言い残して気絶した。

「そう言えば村井は理由を知らないもんな」
「そう言えば私の夢、村井くんの後ろで村井くんの服を持って笑う田中もいたな…」
「ちょ!まて…まて二人とも!話せばわかる!てか夢だ!夢だぞ!」

第二の犠牲者がでるまであと5秒。