1週間おきのはずなのにやけに久しぶりに感じる休日、のんちゃんが遊ぼうと言ってくれたので私はのんちゃんの家にむかっていた。

「こんにちはー(のんちゃんの家久しぶりだな)」

ガチャリとドアが開いてでてきたのは幸一先輩だった。

「お邪魔しまーす」

なんだかめんどくさそうなことが起こりそうだったので私は幸一先輩を無視して歩き出す。

「ちょっと待って無視しないで久しぶりの登場だよ!」
「大丈夫ですよ元々登場回数は一番少ない予定だったんですから」

にこり、お淑やかな和風な女性をイメージして笑う。
幸一先輩は叫んだ。

「いやああああそんなのやだあああ嘘だあああ」
「だって幸一先輩ってのんちゃんのお兄ちゃんって設定しかないんですから(私は和風美女…)」
「いやいやあるよ!多分あるよ!てかなにその顔!どや顔?アホヅラ?」
「チッ…お兄ちゃんはお兄ちゃんらしく妹に貢いでろッ!」

バッシーンと靴を拾って頭を叩く、痛いよばきゃ!と噛んだ幸一先輩に気持ち悪っと言えば泣かれた。

「ううっ…俺は褒めてのびるタイプなのに…」
「めんどくせぇ…」
「褒めて」
「うーん…妹が可愛いよね」
「うん!」
「うわ…」
「なんだその顔!」
「てか幸一先輩って気持ち悪いから出番ないんだよ」
「えっ」

幸一先輩がびっくりしたように目を見開く。
いや自覚ないのかよ、とツッコミたいのを我慢する。

「だからもっと爽やかさを全面的にだして…名前も幸一から香一に…」
「え!名前も変えるの?」
「性格も…うーんもっとかっこよく…なんかいいエピソードとか趣味とかない?」

二人して唸りながら考える。

「……あ!俺今日席譲った!」
「優しい系……もう田中とか鈴木くんとかのんちゃんとか征矢とかほんと全員だし…飽きてると思う」
「誰が飽きてるの!?」
「え…そりゃあ…言わせんなよっ」

ばしんと幸一先輩を叩くとごめんごめんと幸一先輩が笑った。
そしてまた唸りながら考える。

「じゃあ実は昔がき大将だった」
「ヤンキーはもういるんだよすげえのが!蹴りのトビーが!」
「よくヘタレだって言われる…」
「ミスターヘタレの鈴木くんがいる」
「家事とか結構やるよ」
「田中!」
「不運!」
「田中!」
「苦労人!」
「田中!」
「妹大好き!」
「田中!」
「おのれ田中…よく知らんがなんだかすごく俺と被る田中…もしやその田中を殺れば俺の出番が…」

幸一先輩がノートをだして田中暗殺計画と書き出した。
私がそれはないよと笑えば幸一先輩は諦めてノートを鞄にしまった。

「はあ…出番は少ないままか…あ!やべ…俺バンドの練習…じゃあ行ってクルックー」
「それだ!」
「え?なに?あ…ああ!バンド!」
「いや、寒いギャグを毎回言うキャラ!」
「それはいやだ!」

すごくいやだ!と続けて叫んで幸一先輩は出かけていった。