ガチャリ、ドアを用心深く開ける、催涙ガスが来たら取りあえず袋を被ろう。
パンパンッ
大きな音がした。


「お誕生日!」
「おめでと!」
「え…」

大きな破裂音はクラッカーだったらしい、俺は袋を被らないでよかったとホッとした、ただ被る余裕がなかっただけだが。


「さあお食べ!」
「美味しいよ!」

目の前のテーブルに並べられた料理は確かに美味しそうだった、だがこれには毒が。
俺が立ち尽くしていると大王がひょいと唐揚げを口に入れた。
まさか自滅、いや、最初からそのひとつには毒を入れてなかったのか。


「うまい…」
「ずるい!」

ぱくぱくと食べすすめる二人、俺がぼんやりしてるとプレゼントもあるよ、と箱をだした。

「(今度こそ催涙ガス的なものが…)」

「ピアス!」
「セーラー服!」
「…」

にこにこにこにこ、楽しそうに笑う二人を見てたらなんだか疑っていた自分が愚かに思えた、二人はただ単純に俺を祝ってくれていたのか。

「セーラー服はいりません、刺しますよ」

「いやだあああ…じゃ、じゃあ変身コンパクト…」
「刺しますね」
「ぎゃああああ」
「変身コンパクト私がほしい!」
「じゃああげる!」

その後もくだらないことばかり言う二人に俺は溜息を何回もついた、でも、料理は美味しかったし、ケーキまで手作りしてくれたらしい、なんだか嬉しくて、恥ずかしくて、むず痒い。
家族みたいだ、なんて思ったら何故か涙がでてきた。

「…っ」

「お」
「おや?」

二人には見えないようにしたつもりだったのに勘だけはいい二人だからバレてしまった。
二人はにっこり笑って俺の頭を撫でておめでとうとまた言うから涙は止まらなかった。
翌日朝まで飲み明かした俺は二人より早く起きて片付けをしていた、よく考えれば二人の作戦通りに泣いてしまったんだなあ、悔しい、でもまあいいかと二人のアホヅラを見て笑った。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -