家に帰って準備ができた頃のんちゃんが私の家に来たので私は勉強道具を持ってのんちゃんと田中の家にむかった、途中征矢に会って、鈴木くんに会って、結局みんな一緒に田中の家についた。

「たーなーかー」

家の前で大きな声をだすとドアが少しあいて小さな女の子が顔をだした。

「あっ、田中の妹?可愛い!」

私が叫ぶと田中の妹と思われる子はびくっと跳ねてドアを急いでしめた、私は違ったのかな、と呟くとすぐに階段を下がるような上がるようなどたどたという音が聞こえて田中がドアをあけていらっしゃいと言った。
私達がさっきの妹?と田中に聞くと田中は笑顔でそうだよと答えた。
やっぱり妹だったのか、可愛かったな。

「ま、あがれよ」
「お邪魔します」

家にあがるとリビングへ案内された、家具とかも必要なものくらいしかなくてとてもシンプルで素敵な空間だった。

「適当に座って、今飲み物だすから」

田中がキッチンにむかう、私は、お菓子買ってきたよ、と田中に叫ぶ。
すると鈴木くんとのんちゃんもお菓子買ってきたと続けて言った。
征矢は飲み物を買ってきたらしい。
田中は悪いな、とジュースの入ったコップを持ってきた、買ってきたお菓子を私がテーブルの上に並べてると田中は勉強道具おけねえじゃねえかとお菓子を半分に減らした。
私はお菓子ーと手をのばすと田中にびしっと手を叩かれた。

「けち!」
「勉強しにきたんだろ」
「ちぇっ」

そう言って勉強道具をだす、みんなも勉強道具をだして勉強をはじめた。
しばらくするとなんだか視線を感じて私はまわりを見た。
ドアに田中の弟ふたりと妹がいた。

「あ」

そう言えば三人はどたどたと逃げていってしまった。

「あー…悪い、友達くるって言ったんだけどなあ」
「大丈夫だよ、ここに呼べば?」

私がそう言えばみんなも呼べばいいじゃんと笑った。

「わたした、ち、いても、いいの?」

ドアから顔をだして田中の妹が言った、いいよ、そう言うとぱあっと顔があかるくなって、弟ふたりを呼んできてリビングにはいってきた。

「静かにしてろよ」
「はあい」

元気よく返信する田中のきょうだいたち、可愛いなあと思いながら私はお菓子をつまむ。
美味しいなあとまたお菓子に手をのばす。

「取りあえずお前は菓子くいすぎだからもう禁止な」

お菓子をつまもうとしたら田中に手を叩かれた。

「えー!田中のけち!」
「勉強しろ勉強」
「ちぇっ、鈴木くん教えて」
「はいはーい」

ノートを広げて鈴木くんの横へ行こうとしたら征矢が鈴木くんの横へ移動した。

「征矢どいて」
「俺も鈴木に教えてもらうからお前はここ座れ」

そう言って征矢は自分の隣りの席をぱんぱんと叩いた。

「征矢の隣りじゃ鈴木くんから遠いじゃん!」
「うっせ」

そう言って征矢は鈴木くんにはじめろと言って勉強を教わりはじめた、私は舌打ちを一回して征矢の隣りに座って鈴木くんの説明をきく。
そう言えばのんちゃんはどうしているのかとちらりとのんちゃんを見ると田中に勉強を教わっていた。
よかったのんちゃんも溶け込めてると思っていると征矢にほっぺたをつねられた。

「いったい」
「説明に集中しろよ」
「うっさい!ばーかばーか」
「んだと!」

征矢が怒鳴ってばっ、と立ち上がると田中のきょうだいたちが泣き出した。

「あ…わ、わりぃ」

征矢がぺたんと座る、私は田中のきょうだいたちの頭を撫でた。

「大丈夫だよ、ごめんね」
「うう…ひっく…」
「ほら征矢も撫でて」
「あ?…お、おう」

征矢も田中のきょうだいたちの頭を撫でる、田中のきょうだいたちは泣きやんだ。

「悪いな、すぐ泣くんだよこいつら」

田中がふうと溜息をついてノートを閉じた。

「いや、俺が悪かった」
「飛鷹くん顔も性格も怖いもんね!」

鈴木くんがニカッと笑ってそう言うと征矢は鈴木くんをめちゃくちゃ睨んだ。
その視線に気が付いた鈴木くんが焦って勉強勉強とノートで顔を隠す。

「鈴木いいいいっ」
「すみません嘘です!ごめんなさい!」

そう言って鈴木くんは頭を抱えた。

「でも、征矢は優しいよ!」
「そ、そっか…?さ、さんきゅ」
「飛鷹くん消えればいいのにー」

鈴木くんが棒読みで征矢に言う、征矢は鼻で笑って、男の嫉妬は醜いな、と言った。

「飛鷹くんにだけは言われたくないよ」
「確かに飛鷹には言われたくないよな」
「んだと、田中あああっ」

ごつんとすごく痛そうな音がして田中の頭に征矢の拳骨が突き刺さった。

「いってー…」
「っ、にっ、にいにをいじめないで」
「あ…わ、わりい」

泣き出す田中のきょうだいたちに征矢は謝る、それでも泣きやまない田中のきょうだいたち、私はそっと頭を撫でた。
すると田中のきょうだいたちが、みんなにいにがきらい、なの?と聞いてきた。

「違うよ、征矢と田中は仲良しだよ、ほら征矢、田中と肩組んで」
「は?」
「なんで」
「やっぱりにいにがきらいなんだあっ」
「田中こい!」
「うおっ」
「はいそれで田中大好きって言う」
「はあ?」
「いや言わなくていいよ気持ち悪い!」
「にいにがきらいなんだあああああ」
「あー…わかったわかった、田中好きだ!…っておい鈴木笑ってんじゃねえ!」
「ぷっ…だって…田中好きだって…飛鷹くんが…」
「佐々木もちょっと笑ってるよな」
「ごめんなさい、でも…ふふっ」
「ほら、仲良しでしょ?」
「うん、ありがとう」

満面の笑みの田中のきょうだいたちを見たら、征矢も田中も文句を言わなくなった。
にいにもにいにのお友達もみんな大好き!そう叫んだ田中のきょうだいたちが私達が帰る時にすごく泣いたのは言うまでもない。