征矢に嫌いって言われた次の日、私は熱を出して学校を休んだ。
やわな体だ、喧嘩したくらいで熱出すなんて、まあきっと、喧嘩したのが征矢だからだろう。
好きな人に嫌いだなんて言われてショックじゃない人だなんていないだろう。
ピンポーン、部屋で寝ていたらインターホンがなった。
親がいないので私がでる、ドアをあけたら田中と鈴木くんがいた。

「よ、大丈夫か」
「大丈夫かい?」
「あー…うん」

私がへらへら笑うと田中と鈴木くんは安心したように顔を見合わせた。
なんで来たの?そう言えば田中がプリントを出しながら説明をはじめた。

「大切な手紙がたくさんあるからさ、届けに来たよ、鈴木は行きたいって言うから連れてきた、飛鷹も誘ったんだけどこなかった、すぐそこなのになあ?」

征矢、やっぱり、来るはずないよね、ぽろり、涙が零れた。
田中と鈴木くんの肩が跳ねた。

「おいほんと大丈夫か?」
「大丈夫?泣かないで」
「ふえっ…」

涙が零れたら次から次へと止まらなくて、泣き出してしまった。

「ちょ、ちょっとおじゃまさせてもらうよ」
「僕も」
「う、ん、あがって…」

そう言ってリビングにあがってもらう、二人は私をはさんで座って、頭を撫でてくれた。
私は少しして、落ち着いた。

「なにかあった…の?」
「もしかして、飛鷹くんじゃない?」
「うっ」

止まった涙がまたどばっと溢れてきた、二人は話したくなければいいから、と気をつかってくれた。

「あの、ね、征矢が私なんか嫌いだって、私が先に嫌いって言っちゃったんだけど…そんなつもりなくて…」

何度も言葉につまったけど、二人は優しく頭を撫でながら、相槌をうってくれた。

「(ばかだなあいつ)」
「(全く、女の子泣かせるなんて飛鷹くんはだめだな)」

二人が黙り込む、やっぱり、私、だめだよね。
嫌いって言ったり、もう、絶交だよね。
私がぽろぽろ涙を流す、田中はティッシュを渡してくれた。

「でも、当然だよね、ただの、幼馴染みで、腐れ縁みたいなの、だもんね、私、人の思いとか考えるの苦手だし、口悪いし、」
「そんなこと言わないで、キミは僕の天使だよ、口悪いなんて気にならないよ」
「鈴木くん…」
「お前は確実に俺の大事な友達だよ、お前思いやりあるから大丈夫だよ」
「田中…」
「だから泣くな」
「そうだよ、泣かないで」
「二人ともありがとう…」

なんでこんなに優しいんだろう、いつも私迷惑ばっかりかけてるのに、涙が零れる。
田中が渡してくれたティッシュで鼻をかむ。

「取りあえず飛鷹連行だな」
「そうだね」
「へ」
「とにかく二人で話し合いな」
「それが一番だよ」
「え」

そう言えば二人はちょっと行ってくると私の家をでた。
征矢を連行するって、話し合うって、もしかして征矢が私の家にくるの?