田中とわかれて私達はシャープペンの並ぶ場所に来ていた。 「う…兎ちゃん」 兎の絵のかかれたシャープペンを持って呟く。 「鈴木は兎をもらっても喜ばないと思うぞ」 「わ、わかってるよ!」 財布をあけてお金を見る、札がない…だと……500円玉1枚か。 あとは68円。 兎ちゃんは210円、鈴木くんへのプレゼントは300円でなんとかしよう。 私がぶつぶつ呟いていると征矢が私の財布を覗き込んで言った。 「貸してやろうか」 「え」 「金」 「………征矢愛してる」 征矢の顔が一気に赤くなる。 「なっ…」 「200円貸して」 両手をあわせる、そしたら鈴木くんへのプレゼント500円分買ってあげれるから、そう言えば征矢は財布をだした。 「ご、500円玉あっから500円貸してやる」 「征矢ほんと大好き」 征矢は顔を真っ赤にして私に500円玉を渡してくれた、ありがとう、そう言って鈴木くんへのプレゼントを選ぶ、勿論兎ちゃんのシャープペンを持って。 鼻歌をうたっていると征矢がこれはいいぞ、とカドケシを持ってきた。 征矢がカドケシを授業で使うところを想像したら腹が捩れた。 「なに笑ってんだよカドケシはすげーんだぞ」 「ちょ、ないわ、征矢がカドケシとか」 「うっせ」 いらないなら戻してくるぞ、と征矢が言ったのでいります、と言って征矢からカドケシをもらった。 「あとこのシンプルなシャープペンでいっか」 「ああ」 会計して、文房具屋をでる、本屋寄っていい?そう聞けば金ないのに?と言われた。 「そうでした」 帰ろうとしたら繋いでいた手を引っ張られた。 振り返って征矢にどうしたか聞けば本屋行こうぜ、と言った。 「でも私お金」 「俺が買ってやるよ、一冊だけな」 「よっ、男前!」 「知ってる」 征矢はやっぱり優しいな、と思った一日でした。 |