「はい征矢くんねんねでちゅねー」

そう言えば征矢は起き上がった、そして目をしばしばさせてから、私を見て目を見開いた。

「やあ征矢、愛しの幼馴染みがむかえに来てやったぞ」

けたけた笑えば征矢は溜息ひとつついて、もう一度布団に入った。

「私が美しくて言葉がでないか!」
「俺は鈴木じゃねえ」

うっせ、と言えばじゃあ寝かせろと言われた。
そんなこと言わないで、征矢付き合ってよと言えば征矢は飛び上がった。

「なっなななななっ」
「今日1日でいいから」
「は」

征矢は口をぽかんとあけた、私は続けて、鈴木くんにプレゼントあげたいの、と頼む。

「なっ」
「お願い!」

両手をあわせて頭を軽く下げる、征矢は、なんで鈴木に、と溜息をついた。

「この前プレゼントもらったじゃん」

そう言えば征矢は兎のノートか、と呟いた。
そうそう、と言えば征矢はまた深く溜息をついた。

「今度鈴木くんの誕生日なの」
「なんで俺が」

征矢は面倒くさそうに欠伸をして、また布団にもぐった。
私が征矢の布団を引っ張って、奪うと征矢は寒いと呟いた。

「男の子の趣味なんかわかんないし」
「俺が鈴木なんかの趣味知ってると思うか?」

征矢は私から布団を奪って言った。
確かに征矢と鈴木くんは趣味全くあわなそうだけど。

「……だめ?」
「…………わかった、わかったからそんな目で見んな」
「わーい征矢ありがとう大好き!」

そう言って抱き付けば征矢は顔を真っ赤にして抱き付くな、と言った。

「へへ、久しぶりに征矢とお出かけだ」

そう言って離れてニヤニヤすれば征矢は溜息ひとつついて着替えはじめたのでリビングで待ってるよ、と言って部屋をでた。
リビングで待っているとおばさんがジュースをくれたので私はお礼を言って一気飲みした。

「ぷはっ」
「おやじかお前は」
「あ、征矢、いつもの髪はいいの?」

リーゼント、だっけ?そう言えば征矢は、めんどくさいし誰にも会わねぇだろ、と言って髪をおろしたまま家をでた。
おばさんありがとう、そう言って私も外にでる、征矢は欠伸をしていた。

「文房具がいいかな、ヌイグルミがいいかな」
「確実に文房具だろ」

そっか、そう言って並んで歩く、じゃあ文房具屋さん行こう、そう言えば征矢はまた欠伸していた。

「昨日寝た?」
「ゲームしてた」
「だからかーなんかごめんね」

そう言えば征矢は溜息ひとつついて別にと答えた。
ありがとう、そう言えば別に、と征矢は答えた。
狭い路地から大きな道にでた、人が増えてきた、征矢は私の前を歩く、私は見失わないように急いで駆ける。

「おい」

征矢が私の手をとって引っ張る。
転びそうになるけど急いで走る、足を止めたら絶対引きずられる。
息がうまくできない、人込みの圧迫感とかいろいろあって死にそうになっていると征矢が気がついたのか近くのコンビニに入った。

「大丈夫か」
「あんまん食べたい」
「ばかかお前」

征矢が溜息をついた。
だってここのコンビニのあんまん美味しいんだもん、そう言えば征矢もう大丈夫みたいだなと言って私の手を離してコンビニをでた。
待ってよ、そう言って私も追いかける、するりと手を絡ませると征矢の肩がびくりと跳ねた。
どうかしたのか顔を覗き込むとふいと顔を背けられた。

「ついたぞ」

駅前の文房具屋につくと征矢は私の手を離そうとするのでぎゅうと握ってやったら征矢は目を見開いて私を見た。

「いいでしょ?」

へにゃと笑えば征矢はふんとそっぽむいた。

「…勝手にしろ」