うーん、プリントと睨めっこしていても答えはでない、社会だけはだめだ、苦手だ。
こういう時は自分で頑張らず友達に教えてもらうのが一番だ、うん、うん。

「ってことで田中カモーン」
「なに?(めっちゃ飛鷹が睨んでくる)」

田中は隣りの席なので聞きやすい、私はプリントを田中の机におく、田中プリント終わってんじゃんやっぱすげーな田中は。
学年5位な理由もわかる気がするよ。
確か社会得意だったよね、教えてよ、そう言えば田中は後ろをちらりと見た。

「あー…うん…(飛鷹こわいって)」

そう言った後も田中はなんだか後ろの席をちらちら見る、後ろは女の子が休みで征矢しかいないのに。

「おい」
「あれ、征矢も社会得意だっけ?」
「お前よりはできる」
「ふっ、他の教科は私に勝てないくせに」

そう言えば征矢はうっせ、と言った。
でも田中に教えてもらうからね、そう言えば征矢は目を丸く見開いた。

「征矢は途中で怒るから田中に見てもらう」
「…」
「田中よろしく」
「あ…うん(飛鷹めっちゃ見てるめっちゃ見てる)」

田中は後ろをちらりと見た、征矢は机に突っ伏しながら田中を見ている。
何かあったのだろうか。
まあいいや。

「よし、ここから頼むよ田中」
「うん…ここは(やべーめっちゃ見てるって)」

ちらちら、田中が後ろを見る、征矢がそんなに気になるのだろうか、まさか田中征矢が好き、とか。まさか。ないわ。

「どうしたの田中」
「いや…その飛鷹がめっちゃ見てくるんだよね」

田中は私の耳元でそう言った、私は征矢を見る、うわ、めっちゃ田中のこと見てる。

「めっちゃ見てるね」
「まあいいよ、ここはね」

田中は気にせず教えてくれようとしたけどだめだ、気になる。

「征矢、もしかして田中のことが好きなの?」

そう言えば田中も征矢も目を見開いた。
私は征矢のことを見る、征矢は、は?と言っていた。

「(何故そうなる!)」
「でもだめだぞ!田中は今は私のだからな!」

そう言えば征矢はがたりと音をたてて立ち上がった。

「んだと田中!ちょっとこい」
「(えー)」
「だめだよ征矢今私のって言ったじゃん」
「尚更こっちこい田中!」
「(泣きたい)」
「田中は私のなの!」
「(死にたい)」

征矢が田中の右腕を持って引っ張るから私は田中の左腕を持った。
そして引っ張りあう、田中こっちこいオラッ、田中は私のなの!二人で叫べば先生がちょうど帰ってきて、私達の頭を教科書で叩いた。
そして大きな声で廊下に立ってなさいと言われた。
そう言われて3人で廊下に立った。

「田中あとでちょっと話がある」
「あ…えーと…俺…用事が…(まじかよ)」
「あ、田中私に社会のプリント教えてね」
「あ…うん」
「田中ああああ!」
「わああああ、ごめんなさい!」