おい、部屋の外から声がした、どうぞと言えば征矢が入ってきていきなり叫んだ。

「ばっ、着替え中なのにどうぞとか言うなよ!」
「あー…征矢だったのか、母さんかと」
「声でわかれよ!」

叫ばないでよ近所迷惑でしょ、と言えばもういいと部屋から出ていってしまった。
何がしたかったんだろうと私が首を傾げていると外から着替えが終わったら教えろと征矢が言った。
わかった、そう言って着替えをさっさっと終わらせる。
どうぞと言えば征矢がまた入ってきた。
そして征矢が私に何かを投げた、うまくキャッチできなくて顔面にあたる、かなりかたくてかなり痛い、私はその場に蹲った。
征矢はわ、悪いと私に駆け寄る、一発殴らせろ、そう言えばちょ、待て落ち着けと征矢は私の両腕を持った。
離せこのやろう、そう言えば征矢は悪かったから取りあえずあれ見ろよと私に投げたものを指差した。
私は取りあえず殴るのをやめて私に投げたものを見た。
綺麗にラッピングされた袋、私はあけてみる。
そこには兎のヌイグルミと兎のキーホルダーが入っていた。
兎のキーホルダーがかたくて痛かったのか、そう思いながらこれなに?と言えば征矢は誕生日だろ、と呟いた。
ああ、私今日が誕生日だった、そう言えば征矢は忘れてたのかよと溜息をついた。
ありがとう、そう言えば征矢は別に、とそっぽむいた。
征矢の誕生日楽しみにしててね、そう言えば征矢はおう、と言いながら櫛を取り出して髪をととのえた。
征矢からもらった兎のヌイグルミと兎のキーホルダーを見る、征矢が兎のヌイグルミと兎のキーホルダー持って会計してるところを想像したら腹が捩れた。

「なに笑ってんだよ」
「せ、征矢が兎のヌイグルミとかキーホルダー会計してるとこ想像したら…ははっ…」
「うっせ」

征矢は顔を真っ赤にして、私の部屋をでた。
待って一緒に行こう、そう言えば征矢は早くしろよ、と言った。
私は鞄に教科書やらノートやらを詰めて、家の外で待っている征矢のもとへ駆けた。