ばたばたばた、逃げる、途中廊下は走るなと先生に何度も注意をうけるが私は無視する。

「柳生!」

たまたま教室からでてきた柳生に声をかけると柳生はにこりと微笑んで廊下は走らないで下さいね、と言った。

「黙って眼鏡を貸して!」
「?」
「こぉらあああああ待てぇええ」

柳生から眼鏡を借りてかける、数秒後すごい大きな声で私が逃げていた相手がくる。

「丸井くん」

さっ、と近くの教室に入りクラスの人になりきる、私はただの眼鏡女子、イエス!眼鏡女子!
一人で心の中で叫ぶ。

「柳生!あいつどこいった!?」
「女性をあいつなどと呼んではいけませんよ」
「うるせー!あいつ俺の菓子こっそり喰ったんだぞ!しかもこれで三回目だ!」

謝ったじゃん、と心の中で言う、ブン太は食べ物のことになるとすぐこうなるんだから、全く、よくない癖だよ、そりゃあ食べた私も2パーセントくらいは悪いかもしれないけどさ。

「教室に入っていったか?」
「眼鏡を奪われたのでよくわかりませんでした」
「じゃああいつは今眼鏡で変装してるな!」

どき、眼鏡をそっと外す、ブン太は片っ端から教室見てやる、と言い出した。

「(やばい)」

教室に入ってきたブン太と顔を合わせないように窓の方を見る、誰かが入ってきた気配がする。

「丸井くんは行きましたよ」
「や、柳生…」

ほっとしていると柳生は眼鏡、と手を出したので眼鏡をありがとうと言って返す。
眼鏡をかけた柳生はでは行きましょう、と私の手を引いて走り出した、びっくりしてどこへ行くのか聞けば丸井くんから逃げるだけですよ、と笑った。