可愛いなあ、いつもここで寝てるけど、ここに住んでるのかな、ここの主かな。
にゃー、目をぱちりとあけて目の前の主かわからないが主っぽい雰囲気の猫ちゃんはないた。

「にゃー」

私がそう言えば猫ちゃんも私の声に反応してにゃにゃにゃーとまたなく。

「にゃ、にゃー」
「…おい」

後ろから声をかけられた、振り向けば同じクラスの海堂くん、もしかしなくても今の聞いてたかな、は、恥ずかしい。
私はばっと立ち上がって海堂くんにおはよ、と早口で言って逃げるようにその場を去ろうとした刹那、にゃー、猫ちゃんが寂しそうにないた。
思わず止まって猫ちゃんを見つめる、海堂くんが猫ちゃんの前で座り込んだ。
何をするのかと思えば海堂くんは猫ちゃんを優しく撫でた。

「…猫、好きなの?」

私が問うと海堂くんはこくりとうなずいた、私は思わずふきだしてしまった。
じろり、海堂くんが私を睨む。

「ご、ごめんなさい、なんか、海堂くんって可愛いね」

私がそう言えば海堂くんは恥ずかしそうにそそくさと立ち上がって学校の方へ歩き出してしまった。
私は猫ちゃんに手を小さくふってから海堂くんの後ろを歩く、しばらく歩いてたら海堂くんが立ち止まって振り返った。
私が首を傾げると海堂くんは可愛いよな、と言った。

「え?」
「猫」
「うんっ」

私が思い切りうなずくと海堂くんはくるっと前をむいてまた歩き出した。
私も海堂くんについていく、途中また違う猫ちゃんに会って二人で撫でた。

「……さっきのやらないのか?」
「え?」
「猫語」
「わ、忘れて!」

私が顔を真っ赤にして大きな声をだすと海堂くんは可愛かったけどなと言った。

「え?」
「っ、猫が」
「あ、うん…」

なんだか気まずくなってしばらく黙ってたら猫ちゃんがにゃーと話しかけてきた。

「「にゃー」」

思わずでてしまった猫語、でも私だけじゃなくて、海堂くんもだった。
二人して顔真っ赤にして、少ししてから笑った。
海堂くんは怖いと思っていたけど意外と可愛い人なのかもしれない。