ずんずんずん、真直ぐ私に近付いてくる銀髪頭、確かあの有名なテニス部の仁王くん。 ずんずん、何故私にむかってくるのだろう、テニス部とは関わりないし。 ずん、いや、もしかしたら私の後ろに誰かいるのかもしれない。 くるり、後ろを向けば誰もいない、横には仁王くんのファンだろうか、女の子たちがたくさんキャーキャー言っている。 「お前さん、どこかで」 「ヒトマチガイデス」 緊張して片言になってしまったが私はそう言って逃げるように駆け出した。 仁王くんが待ちんしゃいと言ったが無視した、人違い人違い。 廊下をしばらくぶらぶらしてから教室に戻ろうとしたら私の教室からキャー仁王くーんと言う女の子の声が聞こえた。 まさか、いやいやないない、私は教室とは反対の方向へ駆け出した。 2年生の階に来て階段に座る、ここなら大丈夫、多分。 授業がはじまるまでの辛抱だ、さすがにチャイムが鳴れば仁王くんは帰るだろう。 あと5分、よし、教室に戻ろう、立ち上がって振り返ったらそこには仁王くんがいた。 仁王くんはあっ、と言って階段を駆け下りてきた、私はどうしようかあたふたしてたらがっしりと肩を掴まれてしまった。 「思い出した」 「?」 「入学式の日に」 「は?」 「転んだ俺に絆創膏くれた!」 全く記憶がありません。 仁王くんは感動したようでなんかいろいろ話だした、なんだろう、本当に人違いなんじゃ。 「すみません記憶にないんですけど」 「え、いやいや絶対そうじゃ!」 仁王くんは何かひらめいたようで、ポケットから黒いかつらを取り出してかぶった。 私はじいっと仁王くんを見る、あ、あ。 「ああああああ!」 「思い出したか!」 「いやいやないないすみません人違いです授業なんで教室戻ります」 「待ちんしゃい!」 「すみませんほんとすみません土下座するんで、ほんと土下寝も土下逆立ちもするんで」 「好いとう」 「いやいやほんとないんで、すみませんほんとすみません」 仁王くんは知らないのだ、あの時仁王くんに計らずも足をかけてしまったのは、私だってことを。 「一目ぼれなんか初めてでのぅ…お前さんは天使じゃ」 「すみませんほんとすみませんっ」 私はただただ謝るしかできなかった。 ――――― 露さんへ相互記念です。 全体的にすみません。 ここからラブストーリーがはじまるんです!多分(おい) では、ありがとうございました、これからよろしくお願いします。 |