かちかちかちとシャープペンの芯を出す、そして芯が少しでたらかりかりとノートに書き込んでよし、と呟く半田を私はじいとかれこれ一時間は見ている。
一緒に勉強しようと言って半田の家に来たはいいものの家族全員出かけてるとかなに?襲えってことなのかな、そうだよね。

「お前集中しろよな」
「あ、うん」

私もかちかちとシャープペンの芯をだしてノートへ書き込む、あれ、ここやるんだっけ、やらないんだっけ、わからないや。
半田に聞こうと思って半田を見ると半田はぽろりと涙を流した。

「(うわあああ!かわっ、可愛い)」
「いてて、目にゴミ入った…」
「だ、大丈夫?」
「ああ」

半田はごしごしと目をこすって、とれたとれたと笑った。
よかったね、と冷静を装っていた私だが内心襲いたいと思った。
そんなことを知ってか知らずか半田は眠いと横になった、ばか、襲うぞこのやろうと心の中で叫んで私は半田にもう一時間もやってるもんと笑った。

「だああ…終わんねえ」
「私じゃ半田に勉強教えられるほど頭よくないしね…」
「俺もお前に勉強教えられるほど頭よくないし」

二人して溜息をつく、ちらりと半田を見れば勢いよく横になったからか服からお腹が見えている。
私と違って無駄な脂肪のついていないお腹、やっぱりサッカー頑張ってるんだなあ、食べちゃいたいじゅるり、だめだだめだ、私は頭をぶるぶると振る。

「お前さあ」
「な、なに」
「お腹すいてんの?」
「え」

半田がじいと私を見つめている、少しやる気のない目が色っぽい、やばいやばいかっこいいよ。

「なんか…目が飢えてる」
「あ、うん…少し」
「じゃあなんか作って喰うか」
「半田って料理できるの」
「まかせろ」

立ち上がって私に手を差し延べる、あーあ、お腹が見えなくなっちゃった。
半田の手をとって立ち上がる、半田の自室からリビングへ下りる、どこから出したのか半田が黒いエプロンをして腕を捲った。

「ばかやろおお」
「は?え?なんだよ」

半田を見ないように蹲ると半田が大丈夫かと私の隣りにしゃがみ込んだ、私は大丈夫と答えて半田を視界にいれないように立ち上がる。

「大丈夫か?」
「大丈夫」

テーブルに突っ伏して半田の料理を待つ、とんとんとんと包丁がはしゃぐ音を聞いていればいてっと声がした。

「いってー」

半田を見れば指を銜えながら私にちょっと切った、と笑った、ドジっ子なんて卑怯だ。

「私がやるよ」
「あー…悪い」

半田と交代して料理をはじめる、チャーハンを作ろうとしていたらしい、特に異論はないので私もチャーハンを作りだす、鼻歌が聞こえて振り返ると半田が肘をついて私に背中をむけてテレビを見ていた。
いつも見てるはずなのに何故か半田の横顔が大人っぽく見えた。

「(かっこいいなあ)」
「できたか?」
「一応」
「どれ」

ずい、と私の隣りからフライパンを見る、そしてうまそーと言って私の頭をぽんぽん撫でる、私はやめろと半田を殴る。

「本気で殴られた…」
「ごめん手がすべった」

そう言いながら皿にチャーハンを盛っていく、多分半田の方がたくさん食べるから多めにいれよう。

「食べよう」
「ちくしょう俺を殴ったこと忘れてるだろお前」
「うん」

なんだか納得がいかないといった感じの半田を無理矢理テーブルに座らせる、スプーンを渡せばにこっと笑う半田、あああ笑った顔もかっこいい。

「いただきます」
「うん」

もぐもぐ、半田はにこにこしながらチャーハンを食べる、私は半田をじいと見る、なんでこんなにかっこいいんだ。
半田と目が合った。

「………まだ殴り足らないのか」
「食べちゃいたい」
「な、これは俺のぶんだぞ!」

チャーハンの盛られた皿をもって立ち上がる半田、ちくしょうチャーハンなんか食べたくないわ、半田を食べたいんだよ。
私は自分のぶんのチャーハンを口にいっぱい詰め込んだ。
「いつか絶対食べてやる」

そう言った私の声は半田には届かなかったようで、半田はうまいうまいとチャーハンを食べていた。
ねえ半田、この世界は弱肉強食なんだよ。

―――――
匿名さんリクエスト半田にムラムラする話。
ムラムラというか食べちゃいたいみたいな感じなんですけど、どうでしょう。
黒エプロンは最強だと思います。
では、匿名さんリクエストありがとうございました。

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