ねえねえ君、そう、君だよ君、一緒にお茶しない?目の前の男はそう言ってニコッと笑った。
嫌ですけど、私がそう言えば男は目を丸くしてなんでって叫んだ。

「いや、知らない人と何故お茶をしないといけないんですか」

私がそう言えば目の前の男は知らないってえええ俺のこと知らないの?とびっくりした様子で私をじろじろと見た。
いや、知らないよ、そう言えばサッカー部は知ってるかと聞かれたのでまあサッカー部は知ってるよ、確か強かった気がすると答えれば男はサッカー部の土門、そう言った。

「は?」
「知らない?」

俺の名前だよ、そう言う男に私は知りません、そう答えれば土門といった男はなんでも完璧にこなす朝も昼も夜もファンタジスタで女の子に大人気、ファンクラブもあるこの俺のことを知らない子がいたなんてううんにわかに信じがたい話だけど、今目の前にいるもんな、となにやらぶつぶつ言っていた。
取りあえず土門とかいうこの男は危険だと察知した私は走って逃げることにした。

「いち、にの、さん!」

掛け声と同時に駆け出す、止まるな振り返るなすべて忘れろ、私は心の中でそう叫びながら走った。
ちょっといきなり逃げることないだろ?お茶しようよ、私の全力疾走にさらりと追いついて土門は言った。
ちくしょう無視だ、無視しようそう心にきめて私は走ることをやめなかった。

「俺が声かけてるのにまさか拒否だなんて初めてだよ、ほんとびっくり、ねえ君名前は?」

ぜえはあぜえはあ、全力疾走は10秒ともたなかった、私は立ち止まってにっこり笑う土門を睨む。
土門はやっと俺と話す気になった?と言った。
私はふんとそっぽをむいて歩き出した。
こいつに今何か文句を言ったら調子にのらせるだけだ、私はてくてくと歩いていく。
うーん、ツンデレだなあ、土門はそう言って私の隣りを歩く、黙って10分は歩いた、土門はまだついてくる。

「なんで私なの」
「それは運命だよ」

そう言いながら腰にするりと土門の手がのびた、私はしね、と言いながら土門の頬を思い切りビンタした。
ぱああん、すごい音が響いた、そして土門はぽかんと突っ立っている、私は歩き続ける。

「なんでなんでなんで!」

土門は私の隣りを歩く、うざいうざい。

「なんでビンタ?喜ぶとこじゃない?」
「さっき名前を知っただけの男にあんなことされたら誰だってああする、てか喜ぶ奴なんかいない」

そう言えば土門はみんな喜んだのになあと呟いた、そして土門は国が違うからかなあと首を傾げた。

「国…?」

ふと立ち止まる。

「あ、俺のこと興味あるの?じゃあそこでお茶でも飲みながら」
「さよなら」
「ああああ待った待った!」

土門は私の腕を掴んだ、私はすぐに手を振り払う。
土門は苦笑いして俺アメリカに居たんだ、と言った。

「聞いてません」

歩き出せば土門も歩く。
土門はぺちゃくちゃと聞いてもいないことを話した、主にサッカーのことと自分がモテたって話ばかりだったが何故か私はおとなしく聞いていた。
何故なんだろう、なんだか、少し。
「土門のこと、知りたい」

にやりと笑った土門に私は嘘だから、と言って逃げるように走った。


―――――
へなさんリクエスト、プレイボーイも度を越し過ぎていっそピュアな土門。
ピュアじゃない、これは阿呆って言う気が。
そしてひとつ、この土門惚れる要素微塵もない!
でもリクエストの内容が面白いのでほんと書いてて面白かったです。
では、へなさんリクエストありがとうございました。

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