ばかじゃね?目の前でお菓子をばりばりと音をたてて食べるブン太にそう言われて私はそうかなあと小さな声で言った。
いや、ばかだろ、ブン太は私のことをばかばかとさっきからずっと言っている。
もう、泣きそうだよ。
私が泣きそうになって下をむいているとブン太は喰え、とお菓子を差し出した、新作のお菓子はとても美味しかったんだけど私の心の傷は全然癒えない。
ほんとに泣いちゃいそうだよ、ブン太もひどいよ、ただでさえ彼氏に浮気されてフラれて傷ついてるのに私にばかばか言って、ひどい、むしろブン太の方がばかだよ。
私はまた俯く、ブン太はまた喰え、と言って違うお菓子を私の口にねじこんだ。
やけに甘いチョコレートだった。
口の中いっぱいに広がるチョコレートの甘さがなんだか苦い私の恋をばかにしているような気がして泣けてきた。
泣くなよ、ブン太はお菓子をばりばり食べながら私に言った、なによ、ブン太は彼女とかできたことないからわかんないんだよ、こんなことなら仁王に相談するんだった、そう言えばブン太は眉をしかめてはあ?と言った。
ブン太のばかばか!仁王だったら絶対優しくしてくれてばかとか言わないもん。そう言えばブン太はふっと鼻で笑った。
もうやだ、私は涙を制服の袖でごしごしと拭いた、するとばか、赤くなるぞ、なんて言ってブン太がタオルを私に差し出した。
またばかって言った。
私はタオルを奪うように乱暴に受け取って涙をごしごしと拭いた。
だから、ごしごし拭くなよばか、ブン太は私の手からタオルを奪って優しく押さえるように私の涙を拭いた。
またばかって言った、私はブン太が持っていた美味しそうな最後のガムを奪って口にいれた。
あ、ばか、お前なに喰ってんだよ、ブン太はびっくりしていたけど私はくっちゃくっちゃとガムを噛んだ。
またばかって言った、ひどいよ、ちくしょう。
ガムをブン太だと思って思い切り噛んだ。
くっちゃ、くちゃ…く、ちゃ、く。
涙がぼろぼろ零れてきて、ガムを噛むことさえできなくなった、うえええん、大きな声を出して泣いた、私はずっとずっと我慢したもん、たまには泣かせてよ。
ブン太は私が声をあげて泣き出すと一瞬だけちょっとびっくりした顔したけどすぐにいつもと同じ顔になって、優しく私の頭を撫でた。
うえええん、うえええん、ブン太のばかあ、みんなのばかあ、私が泣き叫ぶ、ブン太は少し困ったように笑って、泣くだけ泣いたら、笑ってた方が可愛いんだから笑えよって言った。
まさかブン太からそんな言葉が聞けるなんて私はびっくりしたけどこくりと二回だけ頷いて、たくさん泣いた。
お前きっといいことあるぜ、ブン太が言った、そう、かなあ、涙を流しながら、少し笑った。
ブン太は赤くはれてるであろう私の目をそっと両手で包み込んで、泣きむしとんでいけ、と言った。
とんでったか?そっと手をはなすと目の前が明るくなって、世界が変わった気がした。

「ブン太は魔法使いなんだ!」
「まあな」

照れくさそうに笑うブン太を見て私も笑った、あれ、さっきまでとは全然違う、体も軽いし心も軽い、この世界にあふれる様々な色たちもすべてがきらめいてみえる。
なんだかさっきとは違う意味で涙がでそうだ。
よし、新しい恋頑張るぞ、そう言って立ち上がればブン太も立ち上がった。
あんなやつとっとと忘れてやる、そう言えばブン太が俺が忘れさせてやるよ、と笑った。

「え?」
「だから付き合おうぜ」
「なに言っ…て」
「あっただろ?」
「へ」
「いいこと」

ぱちん、とウインクしたブン太はすごく機嫌良さそうに鼻歌をうたいながら私の手を握って歩き出した。


―――――
ぽろりさんリクエスト男前な丸井。
男前…取りあえずウインク、させて、みた、けど。
ちょっと強引な感じで優しいのが私的には男前な丸井です。
では、ぽろりさんリクエストありがとうございました。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -