くらのすけ、控えめな小さい声が俺の部屋に響いた、俺はなんや、と彼女を見つめた、彼女の肩はびくりと跳ねた、俺はどないしたん、と首を傾げる。

「くらのすけが私のこと見たから、き、緊張して」
「なんやねんそれ」

笑うと彼女はガチガチになっていた、いやまじで緊張しとるやないか、俺は彼女の頭を撫でる、彼女は緊張する、とひとこと言って、動かない。
俺は緊張せんでええねんで、と言えば彼女はだって、と口籠った。
なんやねん、可愛いやっちゃなあ、俺がなんで緊張してるん、と聞けば彼女はくらのすけの部屋来たん初めてやし、と俯いた。

「はは、なんやそんで緊張してたん?」
「だって」

俺が笑うと彼女は眉をしかめてくらのすけのばか、と言って肩を叩いてきた、全然痛ないけど俺はいったー言うて倒れた。

「くらのすけ、」
「なんや」
「好きやで」
「知っとる、俺もや」

起き上がってニッと笑えば彼女もニッと笑った、緊張はすっ飛んだようだ。

「くらのすけの部屋って」
「なんや」
「無駄ないなあ」
「ふっ、無駄のない男やからな、惚れ直したか?」
「惚れ直したわ」

互いにけたけた笑う、彼女なんか腹抱えて笑い出した、ほんまさっきまで緊張してたんが嘘みたいや。
まあそんなことはどうでもええんやけど、そう思っていれば彼女はくらのすけ大丈夫?と俺の顔を覗き込んだ。
はっとしておん、と答えて笑った。

「なんや今度はくらのすけが緊張しとるん?」
「いや、まあ…そやな」
「緊張せんでええねんでー」

彼女はニコニコしながら俺の頭を撫でた、う、わ、なにこいつほんまやばい、可愛い。

「くらのすけ?」
「もうあかんわ、自分可愛すぎやろ」

そう言ってがばりと抱き締めれば彼女は笑った。

「惚れ直した?」
「惚れ直した」

そう言えば彼女も俺の背中に手をまわしてきた、ぎゅうと力をこめる。
痛い、そう言った彼女に謝りながら俺は力を緩めた。
今度は彼女がぎゅうと力をこめた、痛ない、嬉しいくらいや。
自然と口元がほころびていた。

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白石とお家デート、全然お家デート感がない!
…すみません。
宵斗さんリクエストありがとうございました!