「げ」 廊下を歩いていたら前から豪炎寺が歩いてきた。 私はくるりと後ろを向いて走る、しかしサッカー部の豪炎寺に勝てるはずがなかった。 あっさり豪炎寺につかまった。 「やあ」 するりと私の腰に豪炎寺の腕がまきつく、気色悪いったらありゃしない。 「何がやあ、だこの野郎あっちいけ腰に手をまわすな」 「恥ずかしがらなくてもいいんだ」 そう言ってふ、と笑う豪炎寺にアッパーかまして逃げた。 すると豪炎寺は蹲ったがすぐに立ち上がった。 そしてまた私の方へ走ってきた。 「照れ隠しか、可愛いな」 「照れてない!」 そう叫んで一生懸命走る、走って走って、逃げる。 しかしまたあっさりつかまった。 目を絶対にあわせてはいけない、絶対にだ。 「目をあわせないか?」 「絶対に嫌だ」 目をあわそうとする豪炎寺、必死にそらす私、あわせたら、負ける。 あわせたら絶対やばい、普通に黙って何もしなきゃ格好いいんだから。 そうだ、目を瞑ってしまえばいいんだ。 「おい」 「はっはっはっ、これで絶対に目があわない!」 高笑いしてると唇に何かやわらかいものが触れた。 目をあけると目の前に豪炎寺の顔があった。 「お、おま…おまおま…まさか」 「そのまさかだ」 私が吃っていると、豪炎寺がふ、と笑った。 キス、された、どうしようお嫁にいけない。 「ぎゃああああ」 学校中に私の奇声が響いた。 豪炎寺はそんなに照れて、と微笑んだ。 「ちょうどいいところにいた、鬼道さん、口直しにキスしましょう」 「意味がいまいちわからないんだが」 ちょうど目の前を歩いていた鬼道さんの肩に両手をぽんとおいて言えば鬼道さんはすごく困った顔をした。 すると豪炎寺が私と鬼道さんの間にはいってきた。 「豪炎寺」 「こいつ今ちょっとおかしいんだ、気にしないでくれ」 「誰のせいで…」 こんちくしょう!と豪炎寺にまたアッパーかまして、鬼道さんの後ろへ逃げた。 鬼道さんははあと溜息をついた。 「ふ、照れて、可愛い奴だ」 豪炎寺はニッコリ笑う、私は気持ち悪!と叫んだ。 鬼道さんはまた溜息をついてもう行っていいか、と聞いた。 「行かないで、豪炎寺と二人きりにされたらどうなるかわからないから」 「豪炎寺に限ってそんなことは………あるみたいだな」 鬼道さんは目をキラッキラに輝かせていけいけコールをする豪炎寺を見てまた溜息をついた。 鬼道さんかなり幸せが逃げてる。 「鬼道さんこいつを殴って下さい、そして永遠の眠りにつかせてあげて」 「何故俺が…」 鬼道さんは心底嫌そうな顔をした。 「ツンデレか、」 豪炎寺は相変わらず勘違いをしてニヤニヤしている、もうほんと消えろ。 「消えろ豪炎寺」 「とか言って、本当に消えたらどうする?」 「え」 鬼道さんのゴーグルがきらりとひかった。 ごくり、生唾を飲む。 豪炎寺がいない。 「そ、それは…寂しい、けど」 豪炎寺の目が輝いた。 鬼道さんはにやりと笑って、それは豪炎寺のことが好きだからじゃないか?と言った。 私が、豪炎寺を好き? 考えれば考えるほど、好き、みたいだ。 「…………好きかも」 豪炎寺がひしっ、と私を抱き締めた、好きだ、豪炎寺が耳元で囁く。 鬼道さんはいつの間にか消えていた。 「てか………尻触ってんじゃねー!」 前言撤回、こんな変態私好きではありません。 ――――― 変態豪炎寺…とのことだけどこれ…大丈夫…?(聞くな) knリクエストありがとう! |