突然目の前に座っている女の子にそう言われた。
同じクラスの、女の子、話をしたことはないはず。
もしかしたら何かで話したかもしれないが、残念ながら僕の記憶にはない。
彼女に声をかけられ僕はびっくりした。
突然だったこともあるが、まず、僕の名前も知っていることにびっくりした。
そして次に可愛いと言われたことにびっくりした。






そう聞き返すと、彼女は満足そうに笑ってうん、と元気よく返事した。
はあ、と溜息をつく、男に可愛いは禁句ですよ、と言ってくるりと後ろをむくと彼女は僕の前までてくてく歩いてきてそうなの?と言った。


 























そう言って彼女をみれば、ふーん。と言いながら僕の隣りにちょこんと座った。
そしてごめんなさい、と僕に謝った。
まさか謝罪されるなんて思ってなかったから僕はへ、なんて言ってしまった。
クスクス笑う彼女、僕はかあっと顔が赤くなった。
笑わないで下さい。と言えばごめんなさい、でも可愛くて、と彼女は言った。











それだけ言ってそっぽ向く、すると彼女はまたごめんなさい、と僕に謝った。
僕は何も言わずにそっと彼女の方を見てみた。
申し訳なさそうにちょこんと座る彼女は、なんだか愛しくて、可愛いと思ってしまった。
僕はどうかしてしまったのだろうか。



溜息をつくと彼女は幸せ逃げた、と笑った。
別にいいですよ、と言えばじゃあ私が幽谷くんを幸せにしてあげる。と言った。
へ?と言えば彼女は幽谷くんって鈍いね、と悲しそうに笑った。
ズキ、胸のあたりが痛い、何故?悲しそうに笑う彼女を見たから?
ああ、僕は彼女のことが好き、なんだ。





彼女はそう言ってバッグを持った、僕は彼女の腕を掴んだ。
なに、振り向かないでそう言う彼女に僕は言った。


















そう言ってぐいと彼女を僕の方へ引き寄せる、彼女は俯いているので顔は見えないが耳が赤い。
可愛いな、なんて思いながら耳元で好きです、と囁くと幽谷くんはずるいよ。と言われた。














そう聞くと彼女はうーと唸ってから好き、と言った。
僕はクスクス笑って彼女にキスをする、彼女はびっくりしたみたいでえ、え。と目を丸くして僕のことを見つめてきた。




 



今、なんですか?と聞けば彼女は顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせる。





それだけ言って彼女はまた俯いた。























クスクス笑うと彼女はまたうーと唸ってばか、と言った。
僕はばかでいいですよ、と言って抱き締める、彼女はかあっと顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせた。









そう言って触れるだけのキスをする、彼女はまた顔を真っ赤にした。
幽谷くん、小さな声で僕を呼ぶ貴女になんですか、と問うとなんでもない、と言われた。
なんでもないなら呼ばないでください、貴女に名前を呼ばれるとドキドキするんですから、と言えば彼女は顔を真っ赤にしてばか、とまた言った。


 







ニッコリ笑って彼女に言うと彼女はうんと小さく返事した。