夜中目が覚めてしまったので布団からもぞもぞ出て飲み物を取りに冷蔵庫の前まで行くとたまたま曽良と出会った。
ごきゅごきゅと私のジュースを飲む曽良を目の前にして反論すればきっと断罪チョップがくるのでジュースは諦めて冷蔵庫をあけた。
冷えたお茶をだしてコップにうつしているとご馳走さまでしたと嫌味ったらしく笑う曽良がいて畜生と思ったがどう致しましてと言っておいた。
お茶がコップから零れそうになった時にハッとしてとめた。
全く曽良と会うとろくな事がない。
最悪だと思いつつゆっくりコップを口まで持ってきてごきゅごきゅ飲むと曽良は欠伸をした。
珍しいねと呟けばそうですかと返され、会話は終わってしまう。
別にずっと会話しようなんて思ってはいないのだけれどなんだか寂しい。コップのお茶が全部無くなればぷはっと言う。
風呂あがりですかと呟かれればなんとなくね、と答える。
もう一杯飲みたくなってお茶をコップに注ぐ、今度は半分くらいにする。

「まだ飲むんですか」

「うん」

呆れたような顔をしている曽良、前からこんな顔か、と思いながらもお茶を飲む。
今度は流石に一気にはいけなくて途中で飲むのをやめた。

「吐きそ」
「ここで吐かないで下さいね」

トイレにでもいきなさいと指差す曽良。
いやいや大丈夫と呟いて残っているお茶を飲み干す。
やっぱりお茶はうまい。
また寝ようかと思ったけれど何故か頭がさえてしまったのでくう、とのびをして起きることに決めた。
曽良は起きてるんですかと怠そうに言っていた、でも結局曽良も起きるらしい、不思議な人だ。
二人で並んで座ってみる。
なんとなく気まずい。
芭蕉さんは寝てるし、仕方ない気まずさを解決するためにお話でもすることにした。
曽良、と声をかけると溜息が返ってきた。

「(何故溜息)」
「なんですか」
「趣味はなんですか」
「はあ」

また溜息、曽良は私といると溜息ばかりつく。(芭蕉さんがいても溜息ばかりつくが)
幸せが逃げてるなあ、と思っていれば俳句ですと突然言われてなんのことか戸惑った。

「趣味は俳句です」
「ああ…」

そっか、と呟いて会話が終わる。
何故こんなにも会話が続かないのだ。
それも運命なのだろう私は溜息をついて夜が明けるのを曽良の隣りで待ち続けた。