「木手くん、木手くん」

私が声をかけると木手くんはくるりと振り返り、私を見た。
ばち、目があう。そして木手くんは視線を私の服に移した、そして私の服を見て眉をしかめながら言った。

「どうしたんですかその格好、頭打ちつけましたか」
「頭打ちつけてなんかないよ、魔女の服よ、可愛いでしょ?」

首を傾げると木手くんは私を上から下へ、下から上へまじまじと見た。まじまじと見られるとなんだか恥ずかしくて顔が自然と赤くなった。
木手くんは私から視線を外す。

「可愛くないことはないですが露出が激しすぎな気がしませんか」
「え。そうかなあ」

首を傾げると木手くんは顔を少し赤くしてそうですよ、と言った。
そうかなあと私は自分で自分を見てみる。
いつもよりは露出してるかな。

「あ!それよりそれより」

木手くんの腕を引っ張る、木手くんは溜息をついてなんですか、と私に聞いた。

「魔法をかけてあげよう」

ニッと笑うと木手くんは、は?と私を睨んだ。

「まじかるまじかるるるるんるん」

木手くんが睨むのを気にせず私がリズムにのってそう言えば木手くんが顔をしかめた。

「…ふざけるのもいい加減にしなさいよ」
「ふざけてなんかないよ、私魔女なの」

そう言って笑うと木手くんはふざけるな、と言いたげな顔をした。

「本当よ?」

首を傾げると木手くんは鼻で笑った。
私の時が一瞬止まった。

「わ、笑ったわね、むきー!」

両手を上にあげると木手くんはまた笑った。

「俺魔法なんて信じてませんからね」
「いいわ、わかった魔法をかけてあげる」

ふん、と腰に手をあてて魔法のステッキをふる。

「まじかるまじかるるるるんるん、私のことが好きになーる」
「…」
「どう?」
「全然ききませんよ」

木手くんは微笑んだ、そしてこう続けた。

「だって前から好きですし」
「え」
「顔が赤いですよ魔女さん」
「ーっ、ばか!」

木手くんは満足そうに微笑んで、私をお姫様抱っこした。
そして暴れる私の耳をぺろりと舐めて、貴女のせいですからね、と言った。
ああ、私、食べられちゃうのかしら。