「…飛鳥」 「黙ってて」 「ん」 飛鳥と私は付き合っている、なのになんで半ば無理矢理キスされているのだろう。 いつ、飛鳥の地雷を踏んだんだろう。 私は思い当たることがないか必死に考えた。 今日も普通に過ごしていた、飛鳥の隣りで笑っていた。 授業中こっそり話したりもした。 目をぎゅうと瞑る、飛鳥の唇が離れた。 「わ、たし、何か、した?」 呼吸を整えながら飛鳥に問うと飛鳥は何も言わず私を優しく押し倒した。 「飛鳥、」 「黙って」 また無理矢理キスされる。 私はまた目をぎゅうと瞑って飛鳥のユニフォームを握り締めた。 飛鳥の唇はまだ離れない、苦しい、苦しくて、悲しい。 「(飛鳥)」 心の中で名前を呼んでも飛鳥は気付かない、唇が離れた。 私は飛鳥に嫌な思いでもさせてしまったのだろうか、涙がほろり零れ落ちる。 飛鳥、飛鳥飛鳥、心の中で叫ぶ、大好きなの、大好きなのに。 声にでない叫び、飛鳥が笑う、泣きそうな、哀しそうな顔をしている。 「飛鳥、苦しいの?」 首を傾げると飛鳥は驚いたように目を見開く、そしてまた哀しそうに苦しそうに笑った。 「鬼道さんと話してたろ」 「うん」 「嫉妬したんだ、」 「うん」 飛鳥は私の頭を優しく撫でながら話す。 「醜いなあ、俺」 自嘲的な笑みを浮かべる飛鳥の頬に優しく触れる。 「醜くなんかない」 「はは、さんきゅ」 空っぽの笑顔、妙に愛しい。 「飛鳥」 「ん」 「好きよ」 「…まだ、俺のこと好きでいてくれるのか?」 こくりと頷くと飛鳥は両手で私の頬を挟んで優しく触れるだけのキスをした。 くすぐったくて、愛しい。 (未完成の私達は、今日もまたお互いを傷つけ愛し生きていく) |