あの雲の向こうに、私達の明日がある。
そう思ったらやけに空が高く感じて、やけに明日が遠く感じて泣きたくなった。
太陽がやけに眩しかった。
グラウンドを見れば彼が楽しそうにサッカーをしていた。
ボールがころころと転がってきて、私の足元で止まった。

「  」

名前を呼ばれて再びグラウンドを見れば鬼道がいて、すまないがボールをとってくれ、と叫んだ。
私はボールに足をかけ、しばらくボールを見つめ、最近ボールを蹴っていないな、そう思いながら蹴った。
ボールは鬼道のもとへ吸い込まれるようにいった。
小学生の頃小さなサッカーチームでサッカーをやっていた私は中学になっても1年の頃は一日も欠かさずにボールを蹴っていた。
しかし1年の最後の方に体育の授業で足に怪我をしてから今まで怪我が怖くて蹴っていなかった。

「(懐かしい)」

足に残る感触が心地よくて、頬の筋肉が緩むのを感じた。

「  」

再び名前を呼ばれる、鬼道が笑う。

「一緒にサッカーやらないか?」

涙が溢れそうになった、また、大好きなサッカーができる。
私は無言でグラウンドへと駆け出した。
太陽はギラギラとグラウンドを、私達を、照らしていた。