突然の七松に声をかけられた。びっくりしたがなんだろうと思って聞いているとなかなか話そうとしない七松、私行くよ?と言えば待って、と手を掴まれた。
掴まれた手から感じる七松の温度が心地よい。

「私はキミに伝えなきゃいけないことがあるんだ」
「なに」
「キミの…」

まさか愛の告白、なんて思ってどきどきと心臓が早くなった。

「キミの団子を食べたのは私だ」
「…」
「許してくれ」

そう言って頭を思い切りさげる七松。

「うん、私のときめきと団子返せ」

笑顔で殴りにかかると七松はときめき?と不思議そうな顔をした。
「取りあえず殴らせろ」
「待て。キミのパンチは結構きつ…ぶっふあ」

思い切り殴ってやると七松はその場に倒れた。

「ふー…よし団子食いに行こうか、もちろんお前のおごりでな」
「お、おー」
「ほら立って…ってそんな引っ張ったら倒れ…」

七松を立たせようと手を差し延べる、しかし思い切り引っ張られて私は七松の上に転んだ、まるで私が七松を押し倒しているようだ。

「ははは、悪い悪い」
「ば、バカタレ!」
「ん、聞いたことある台詞だな」
「もんじみたいになった…」

そう言うと七松はケタケタ笑いはじめる。

「笑うなー!」
「おや…お楽しみのところ悪いね」

立花がたまたま通り掛かって声をかける、お楽しみ?誤解されてる。

「立花…別にお楽しみじゃないわよ、ね?七松?」
「ははは、お楽しみ中だ。邪魔だぞ」
「そうだな、私は去ることにしよう」
「ま、待て立花、誤解だ!」

立花はニッコリ笑っていた。あいつわざと。

「いつまで引っ張るつもり」
「ずっとだ。ここからがお楽しみだぞ」

ニコニコ笑いながら七松は私の首に顔を埋めてきた。

「お楽しみじゃないわよ!あんたなんか嫌い!」
「そう怒るな、私は好きだぞ」
「なにを」
「キミのことだよ」
「は?…ってまて七松…ん」

す、と七松の顔が近付いてきて唇に違和感。
それが接吻だとわかるのにそう時間はかからなかった。

「な、なにすんのよ」
「接吻」
「そういうことじゃなくて!」
「?どういうことだ?」
「もういいわよ、離して、私行く」
「離さない」
「ちょっ、と……なに泣いてんのよ」
「キミが好きだ、何よりも大事だ…だからいかないで、ほしい」
「ばか」

そんな顔されたら行けないじゃない。
少しの間、七松にぎゅうと抱き締められていた。
少しすると七松は深刻そうな顔した。
「キミの返事を聞いてない」
「え」
「私はキミが好きだ、キミは私をどう思ってる?」
「七松はばかよ、ばかで阿呆で力ばっかり強くて、頭すっからかんで、大嫌い」
「ははは、そりゃひどいぞ」
「でもね、好き」

そう言うとまた接吻。
でも嫌な気はしなかった。