食満先輩はとても優しいが目付きが悪い、私も初めて会った時は恐怖に身震いした。
しかし話してみると優しいことがわかって、すぐに慣れた、そして食満先輩と居る時に感じるこの気持ちが愛だとわかるのにそう時間はかからなかった。
食満先輩、と声をかけるとあ?とこちらを見る食満先輩、ばちりと目が合って急いで目を逸した。

「なんだ」
「なんでも、ない、です」
「そうか」

それだけ言って食満先輩はまた作業をはじめた、トンカントンカンとリズムよく屋根を叩く食満先輩。
壊れていた屋根はすぐに直った。
私がパチパチと拍手すると食満先輩はよせよ、と笑った。
笑った食満先輩が格好よくて、顔が自然と赤くなる、食満先輩はどうした?と顔を覗き込んでくる。

「なんでも、ない、です」
「でもお前顔真っ赤だぞ」
「大丈夫、です」
「熱でもあんのか?」

食満先輩のおでこと私のおでこがくっついた。
もうだめだ、この気持ち、押さえきれない。

「好き、です先輩」

そう言うと食満先輩は驚いたように目を見開いて私を見つめた。
そりゃそうだ、こんな突然の告白、驚くに決まっている。
受け流してくれればいいのに、真面目な食満先輩は受け流してはくれないようだ。
ああ、私の恋、終わったな。
目を瞑って溜息をひとつ。

「俺もだ」

食満先輩は私を抱き締めた、私も食満先輩の背中に手をまわす。

「嬉しい、です」

ニッコリ笑ったら食満先輩が私の頬にキスをした。