留三郎と私は幼馴染みだ。
小さい頃からたくさん喧嘩して、殴り合って分かち合ってきた。
そんな関係だったのにいつの間にか留三郎のこと好きになる私が嫌で、嫌で嫌で嫌で、時々自己嫌悪に陥る。
そして今も、自己嫌悪。

「はあ」

溜息をつくと後ろに気配を感じて構える、すると構えんなよ、と声がした。
留?と聞くとああ、と返事して私の目の前に立った。

「なに、用があるなら早くしてくれる」

自己嫌悪の時に留三郎が来るなんて最悪だ、頭を抱えると留三郎は冷てぇな、とだけ言って私の隣りに座った。
留三郎はそれから何も話さなかった、静かに私の隣りに座っていた。
私も何も話さなかった、静かに頭を抱えていた、ああ最悪だ。
こんなに好きなのに、伝えられないし、留三郎は私のことなんか何とも思っていないだろう。辛い。
胸がズキズキする。
はあとまた溜息をついてから留三郎をちらりと横目で見ると留三郎は欠伸をひとつ。

「眠いなら寝なさいよ」
「あ?…ああ」
「ちょっと」

留三郎が私の肩に寄り掛かってくる、留三郎はいいだろ、と笑う。
よくないわよ、とは言えずに私は黙り込んだ。
すると留三郎がすうと息を深く吸うのがわかった。
何をするのか不思議に思っていると留三郎に声をかけられた。

「なに」
「好きなんだ」
「なにが」
「お前のことだ」
「は」

素頓狂な声をあげると留三郎はびっくりしたよな、悪い。と眉をしかめた。
留三郎の言ったことがやっと理解できた。

「わ!」
「わ?」
「私も、好きなの」

それだけ言って頭をあげると意外に近い留三郎の顔、びっくりして後ろに倒れる。
留三郎は大丈夫か、と手を差し出してくれたので私は有り難くその手を握った。
起こされるのと同時に抱き締められる。

「留」

留三郎は何も言わなかった、ただ私を抱き締めていた。
私は腕を留三郎の背中にまわして呟いた。

「好きよ」

――――――
食満好きだー
でも似非だー