仁王に今から会えるってメールしたら部活がまだあるってかえってきた。
知ってるよそんなこと、私はそっか、じゃあいいやとかえした。
携帯をカバンに入れて、カバンを自転車のカゴに投げるようにいれる。
そして自転車に跨がって少し遠い公園までいく。
公園につくとまだ小さな子供が親と一緒に遊んでいた。
私には親の記憶が、ない。
小さい時に両親をなくしてからは父方の祖父母の家に引き取られ今に至る。
だから小さな子供が親と遊んでいるのを見ると胸がズキズキする。

「はあ」

溜息をひとつついて近くのベンチに腰掛ける、すると小さな子供が寄ってきてお姉ちゃん一人なの?寂しくないの?と言ってきた。
寂しいわ、ボケ

「寂しくない、お姉ちゃんは一人じゃないんじゃよ」
「お兄ちゃんだれ?」

突然の声にびっくりして振り返ると仁王がニッコリ笑っていた。

「お姉ちゃんのトモダチじゃ」
「そっか」

納得したのかわからないが小さな子供は去っていった。
仁王に何故ここにいるのか聞こうとすると仁王は部活は早退してきた、と言った。
なんで、と聞くと仁王は携帯を取り出してお前さんが絵文字たくさん入れる時は寂しい時じゃからの、と言った。

「寂しくなんか、ない」
「今日、命日か」
「うん」

頷くと頭をがしがし撫でられた、なにすんのよ、と怒れば仁王はニッコリ笑った。
あまりにも綺麗に笑うもんだから怒る気が失せて、溜息をひとつついて私はぼんやり空を見上げた。
夕日が沈んで、もう暗くなっていた。
子供達も家へ帰ったようだ、誰もいない公園で仁王と二人きり。
「仁王」
「なんじゃ」
「仁王はいなくならない?」
「ああ」
「ほんとに」
「ほんとじゃ」

それだけ言うと泣きなさんな、と仁王に抱き締められた。
そう言われて初めて自分が泣いてることに気がついた。

「俺はここにいる、お前さんも、だ」
「に、お…」

仁王の腕の中で私はわんわん泣いた、仁王はいつまでも私に付き合っていてくれた。
私が泣きやんだとき、もう辺りは真っ暗で、仁王が家まで送ってくれた。

「ばいばい仁王、今日はありがと」
「ん」

片手をあげた後ろ姿は、なんだか格好よく見えた。
明日お礼にクッキーでも焼いてやるか、そんなこと思いながら私は自室へと戻った。