今日はブンちゃんと初めてのデート、普段ブンちゃんは部活が忙しいから一緒にも帰らないし、手も繋いだことがなかったけど今日だけは甘えられる、そう思って私は飛切りお洒落して待ち合わせの場所にきた。 「(まだ20分もある…早く来過ぎちゃったかな)」 「おー、悪い遅くなった」 時計を見ていたら後ろから声をかけられて振り返るとそこには申し訳なさそうなブンちゃんが立っていた。 初めてみる私服姿のブンちゃん、格好いい。 「…(あ、ああブンちゃんの私服、格好いい…)」 「どうした?(やべ、こいつ可愛すぎだろぃ)」 ブンちゃんが不思議そうな顔をして俯いた私の顔を覗き込んでくる、私は咄嗟に顔をあげてなんでもないよ、と叫ぶ。 「そっか(やべー可愛い)」 今度はブンちゃんが俯いた、私は大丈夫?と首を傾げるとブンちゃんがああ、大丈夫だ、行こうぜ。と私の手をとった。 どきり、心臓が高鳴る。 初めて、ブンちゃんと手繋いだ。 大きい手、ブンちゃんもやっぱり男の子なんだなと思っているとブンちゃんが私に声をかけてきた。 「どこ行きたい?」 「えっと…ブンちゃんの好きなとこでいいよ」 思い当たる場所も、ブンちゃんとの思い出の場所もまだないので、ブンちゃんに任せることにした、ブンちゃんは俺の好きなとこ…と悩んでいたけど少しして何かひらめいたみたいだった。 「じゃあケーキバイキング行こうぜ、お前ケーキ大好きだろぃ?」 「あ、うん!ケーキ大好きだよ」 そう答えるとブンちゃんは満足そうに微笑んだ。 そしてじゃあ行こうぜ、と行って手を引っ張った。 ケーキバイキング、楽しみだな、と思っているとブンちゃんがケーキについて話してくれた。 モンブランはうまいだとかチーズケーキは美味だとか、まとめるとケーキは美味しいと言っていた。 「今から行くとこはチョコレートケーキがおすすめだぜぃ」 「わかった、食べてみるね」 ニッコリ笑うとブンちゃんもニカッと笑った。 本当にケーキが好きなんだな、そう思ってあることをひらめいた。 「そうだブンちゃん、私今度ケーキ作ってあげるよ」 そう言った瞬間ブンちゃんが固まった。 私、何か悪いこと言ったのかもしれない、ごめんなさいというとブンちゃんはひしっと私を抱き締めた。 「え…」 「まじ嬉しい…大好きだ」 大好きだ、なんて初めて言われたし、人前だしで顔がかあっと赤くなってしまった。 ブンちゃんは人前とかそんなこと気にしてないみたいで、好き、と連呼してくる。 私は恥ずかしくなってブンちゃんにケーキバイキング行こう、と話題をかえる。 するとブンちゃんはそうだったな!と笑って私の手をひいて歩き出した。 「あ」 「どうしたの」 「この店、新しいケーキ出してる」 ブンちゃんがあるケーキ屋さんを指差す、私もよく行くケーキ屋さんだった。 「ほんとだ!美味しそう」 「ここで喰う?」 「私はそれがいいかな」 「よし、そうしようぜぃ」 ブンちゃんが笑った、ブンちゃんの笑顔は世界を救うんじゃないかってくらい眩しい。 そんなこと考えていたら、ほら入るぞ。とブンちゃんに頭を小突かれた。 ケーキ屋さんにはいると当たり前だけど甘い匂いがして、私は新作のケーキが楽しみでどきどきした。 ブンちゃんが新作のケーキを私のぶんと自分のぶんで2つ、モンブランを1つ、ショートケーキを1つ頼んだ。 そして私に何か頼むか?と聞いてきたので大丈夫、と答えた。 そして飲み物をお互いに頼んでブンちゃんがお金を支払った。 「あ、私自分のぶん出すよ」 「いや、これくらい彼氏にださせてくれよぃ」 かあ、また顔が赤くなる、彼氏、その言葉に店員さんがくすりと笑った。 店内にあるテーブルについて新作のケーキをお互いに一口ずつ食べる、沈黙。 「うめー」 「美味しいね」 そう言うとブンちゃんはぺろりと新作のケーキを平らげてモンブランを食べにかかった。 私はまだ半分以上残っているケーキをみてくすりと笑う。 「ん?」 「ブンちゃんよく食べるね」 そう言ってケーキを一口頬張る、ブンちゃんは普通だぜぃ、と言って笑う。 「悪い、ちょっと席外すぜ」 そう言ってブンちゃんはトイレに行った、私はブンちゃんをぼんやり待っていた。 すると知らない男の人達がきて私をじろりと見て笑った。 嫌な予感がする。 「ねぇ、今暇?」 「え…」 「俺達と遊ばない?あ、勿論ケーキ食べ終わったあとにね」 ニコリと微笑む男の人達、ぞくり、嫌な予感的中。 「えっと、私」 「いいじゃん行こうよ」 「だめだな、そいつは俺のだぜぃ」 「な…」 「ブンちゃん」 「俺の女に手ェ出すんじゃねぇ」 「なんだと」 ベチョ、という音がして男の人の顔にケーキがくっついた。 ブンちゃんは行くぞ、と言って私の手をとり走る、私もブンちゃんを追いかける。 店をでてしばらく思い切り走った私は疲れてその場に座り込む、ブンちゃんが止まる。 「悪かったな、怖い思いさせて」 「大、丈夫」 そう答えるとブンちゃんはあ、と言った。 どうしたの?顔をあげるとそこには赤く染まった町があった。 綺麗…呟くとああとブンちゃんが言った。 「楽しかった、またデートしような」 ぽつり、聞き取れないような小さな声で言ったブンちゃんの言葉、私は忘れないよ。 ―――――― 格好いいブン太じゃない…格好悪い もっと格好よく書きたかった…です(土下座) 愛はあります、よ! リコ様リクエストありがとうございました! 子谷 |