わかんないなぁ、と首を傾げて困ったように笑う勘ちゃんが余りに眩しくて(後光が差してたんだ本当だ)俺はついに失明した!と思わず目を覆ってよろけた。でも実際その神々しい光は俺の視力を奪うような横暴な真似はしていなくて、むしろ俺の心を奪うという某3代目怪盗的な所業を5月の風のようにさわやかにやってのけたのだった。

「おれは別に医者でもなんでもないよ」
「でも勘ちゃんに会うたび俺の心臓は割れそうになるから、これたぶん勘ちゃんにしか治せないと思う。ろ組に会っても全然普通だし」
「それってなんかこう、痛いのか?」
「うん、痛いんだ。すごく、死にそうなくらい」
「えーそれやばいんじゃない?部屋替えしてもらう?」
「やだ!!俺は勘ちゃんと、一緒にいたい!」
「いるじゃん…でも治らないんだろ?」
「うん、なんか、どんどん悪くなってる、気がする…」

勘ちゃんを見つめているとだんだん息が熱くなってくる。ああもう力が入らない。ぎゅっと胸を掴んで近くにあった柱にもたれて頑張って生きようと堪える。くらくらする。勘ちゃんがとても心配そうに眉をひそめてこっちを覗き込んでくる。どうしよう、ぞくぞくする。身体のいたるところが勘ちゃんの視線できゅうきゅうする。ついに俺は自分の足で立っていられなくなって、視界が滲んできた。

「頼む、勘、ちゃん、助けて…」

蹲って涙を堪えながら勘ちゃんを見上げると、兵助、と冷めた指先が頬に触れた。






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