ある日の真夜中の事だった。眠い中トミー様に呼ばれた一人称は渋々トミー様のお部屋に訪れた。コンコンと扉を叩けば「入っていいよ」と部屋の奥から声がした。入ってみれば一人称の真っ白の部屋とは大きく違い、広く、豪華な部屋だった。そん部屋のベッドに在るピンクのソレ。そう、
「…失礼します、あの、トミー様…なんの御用ですか…」
副料理長の一人、トミーロッド様だ。

「用って、決まってんでしょ?ほら、」
横になっているトミー様は自分の隣を少し空け、ぽんぽん、とベッドを軽く叩き「早く来なよ、ボクは眠いんだ」と言い放った。いやいやいやいや、どうしてそうなった。なんてツッコミたいのは山々だが一人称は美食會(ここ)の下っ端。副料理長であるトミー様に適うはずがない。下手にツッコんだら蟲を出されてオシマイだ。(蟲自体は特に嫌いじゃないが、レベルが高すぎる。)――まぁ、どちらにせよ一人称の命日は今日なのか。最後にセドル支部長に挨拶しておけば良かったなぁ。てか何で一人称?何か悪い事したっけ?ほとんど接触無いのに?なんて考えていると枕が飛んできた。
「ねぇ、いつまでボーっとしてんのさ」
「え、あ、はい…」
飛んできた枕を拾いトミー様の寝ているベッドの近くまで行った。どうしよう、どんな蟲出されるんだろ…。やだなー、せめて可愛い奴がいいなぁ。思っている事がつい口に出てしまったのかトミー様が眉間に皺を寄せ、笑った。
「あ、あれ…?」
「何、お前、ボクに殺されると思ったの?馬鹿じゃん」
ほんと馬鹿、馬鹿過ぎて殺す気も起きないから、そう言って一人称の腕を引っ張った。いきなりの展開に一人称の脳みそはもちろん追いつけなく、気が付いた頃にはトミー様の腕の中だった。
「え、えーっと…」
「やっぱ馬鹿だから分からない?」
「な、何を…?」
「コレ」
はい?いや、分かりますよ、えぇ、分かりますとも。でも何で一人称?訳が分からなくなって眠たい頭を頑張ってフル回転させて考えたけどやっぱり分からない。下っ端で美しさも可愛さも皆無の一人称が何故。考えれば考える程分からなくなりそれに伴って睡魔が急激に襲ってきた。
「ボクさー、おまえに興味があるんだよねー」
「…あ、はい…煮るなり、焼くなり、なんなり、と…?」
「…おまえ、すっごい鈍いね?」
「……あ、はい、そう、です、ね…?」
駄目だ、眠いせいでトミー様が何言ってるか分かんなくなってきた。眠い、眠い、どうしよう凄く眠い。永眠でもいいから寝ていいかなぁ…。

「―――、…ねぇ、ボクの話聞いてた?」
「…えっ?あ、すみません、聞いてなかったです、すみません…」
何度もすみませんと謝れば、はぁ、と大きな溜め息をつかれてしまった。
「もういいや、寝なよ。今回は特別に何もしないから。」
そう言って優しく一人称の頭を撫でてくれたトミー様の手はとても大きくて思わずドキっとした。
「…あれ、トミー様、この匂い…」
「うん、スウィートラベンダーだけど?おまえ、好きだろ?」
僕はあんまり好きじゃないけどねと鼻で笑いながらもぎゅっと抱きしめてくれたトミー様。なんで一人称の好きな匂い知ってるんだろう…?深く考える余裕もなくトミー様の温もりに安心してしまい、睡魔に身を委ねてしまった。






110917







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