「っ、トミー、様…っ…」
苦痛に顔を歪めボクの名前を呼ぶ。その姿に愛しさを感じもう一度腹を蹴ってやると身悶えし嗚咽しながら血を吐いた。
「…な、ぜ…」
「ん〜?なんでだと思う?」
わざとらしく首を傾げ問い返せば痛みに耐えつつ己の記憶を隅々まで探るように考え込む。なんだ、まだ思考回るのか。気に入らない。顔を覆っている前髪を勢いよく引き抜くように掴み少し手加減しながら腹を殴る。
「ほら、早く」
言葉で急かしながらも答えさせる余裕なんて与えず。というかどんなに考えてもどうせ答えなんて出てくるわけがない。出てくるはずがない答えに時間をやっても此奴の痛みに耐える時間が長くなるだけだし。寧ろ可哀想だから早く仕留めてやりたいぐらい。小さく首を横に振り掠れた声で途切れ途切れだけどごめんなさいと謝罪する。本当にどうしようもなく可愛いと思う。同時に憎い。此奴はイイ子だから誰からも好かれやすく、美食會(ここ)の奴等で此奴の事嫌いって奴は居ないんじゃないかな。まあ、居たら居たで殺してるけどさ。皆に愛されてる此奴だから、嬉しいけど凄く、すごーく憎い。だからさっさと殺してやろうって思ったわけ。勿論ボクの手でね。
「 名前 」
掴んでいた前髪を放し、倒れ込んだ彼奴をそのまま押し倒す形になってそして名前を呼んでやった。顔には一切傷を付けていないから言葉で返事をする代わりに閉じていた目をゆっくり開け、肉体的にも精神的にも疲労困憊のはずなのに静かに真っ直ぐ見つめてきた。

――嗚呼、愛し(にく)い。

「愛してるよ、これからも」
深く口付け首に手をやり一気に締め上げる。最初は胸を押したり叩いたりと抵抗してきたが酸素を奪われているせいか徐々に力は弱まり、そして――。

瞬間、ボクは生まれてから今に至るまでに一番と言っても過言ではない満足感と幸福感に包まれた。




(ボクの愛しい人よ、どうか安らかに。)


121201







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