最悪な顔合わせ

二人で暮らすようになって一週間は過ぎた。馬超は自分のことをなにも話さず、趙雲もあまり聞き出そうとはしなかった。一度両親が心配しているのではという話題を投げかけ、外に逃げ出してしまったのが3日目。


(これからどうしよう……?)
同居することを迷惑だとは思っていなかった。意外と明るい性格で一緒にいるのは楽しい。でもまだ未成年な訳で、家出した息子を心配しない親はいない。
ぼんやり考えながらも必要なものを買い物カゴに入れていく。

「おぉ!趙雲じゃないか!!」
カートを押して駆け寄ってきたのは会社の社長である劉備。
「奇遇ですね、このような所で会うとは」
と諸葛亮も一緒のようだ。
「えぇ本当に。お疲れ様です」
「この材料からして……今日は鍋だな?」
「そうですよ」
「にしても量が多過ぎるように思うのですが」
「あぁ、もう一人の方がけっこう食べるので…」
『もう一人……?』
その趙雲の言葉にしばし固まる二人。

「丞相ー!他に買うもの何でした?って趙雲殿?」
「姜維も来てたのか!」
「はい!月英殿に頼まれて」

(孔;-ω-){ヒソヒソ}(°ロ°劉p)p
「趙雲殿って一人暮らしですよね」
「彼女……いや違うな」
「まさか一人寂しい生活に居もしない友達つくっちゃったのでは?」
「いやいや!いくらなんでも」
((そうだったら怖い……!!))


「でも確かに買いすぎたかなぁ…あ!よかったら皆さん食べにいらしてください!」
「わーい!久しぶりですね!」
「……!!行くっ!!!」


楽しそうに雑談する趙雲 姜維に対し神妙な面持ちな劉備と諸葛亮。
「あっ!飲み物……」
アパート前まで来た所で思い出した趙雲は姜維に鍵を託す。
「姜維、先に行ってお二人にお茶でも出しといて。ごめんすぐ戻るから」
「はい!お任せください!!」

(私すごく信頼されてる…!)と感動しながら鍵を開ける姜維。
「おじゃましまーす」
誰もいないはずの部屋に響くテレビからの声と――
「だ、れ……」
「誰だ……?」
「ふふ、不審者がぁぁぁ!!!!」
「は?えちょ、貴様っ」


「ただ今戻りました!あれ?」

玄関先で立ち尽くす劉備と諸葛亮。

「???」
趙雲が部屋に入るまで後5秒。




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