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ストーカーにご注意を!

2コマ終わりの火曜日に、この大学の名物が見れる。

あまりにそれが日常に溶けすぎて、誰も疑わない。でも外部の人間がみたら、きっと唖然としちゃうやり取り。


「待ってよスズ!」


叫んだのは、超がつくくらい美形な長身の男性。夢にこんな男が出てきたらそりゃ女子は喜びますよ。なにせこの男性、瞳が緑で髪は茶髪とブロンドの中間みたいな色で、明らかにハーフなんですから。

で、立ち止まったのは黒髪黒目の超和風美女。束ねた黒髪は背中まである。学内随一の美男美女が揃って華やか‥にならないのは、二人があまりに対極的だからかもしれない。


「‥私は暇じゃないんです。なんですか」


不機嫌そうな声でスズと呼ばれた女子は振り返った。その瞬間に、男性はスズにバッと駆け寄って彼女の手を取る。


「結婚してくれ!!」

「断る」

「冷たいなぁ。でもそんなとこも好き!」


このやり取り、因みに始まってから一年と1週間経つ。

だから彼は365+7−土日の数だけ彼女にフラれてる訳です。


「退いて下さい。私は先輩が嫌いです」


手を払いのけて、彼女は学食への道をまた歩き始める。その背中に彼は言った。


「明日も来るね」

「来なくて良い」


即答。


周りは慣れて何も言わない。

これがこの大学の名物になってしまった、
『スズちゃんに何回フラれても絶対にメゲナイ佐野先輩のストーカー三秒前の告白』
です。



「‥田足井さんもよく耐えるね」


学食で同じ学科の男子が言った。だがスズはそちらを見もしない。


「別に耐えてる訳じゃない」


それでも返事だけは返す。同じ学科じゃなかったらきっとオール無視。


「じゃあなんなの?」


彼女はため息をついた。


「私が知りたい」







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