(▼廉造がオナニー見られたよ)
廉造は慣れた様子でティッシュの箱を近くにセットし、エロ本を片手に自慰にふけった。最近忙しくてご無沙汰だったこともあり、紙面で微笑む魅力的な女性を前にしてそこはあっという間に肥大した。動かす手の速度を早め、いよいよ絶頂を迎えようとした瞬間、
「おーい廉造おー」
金造がガラリと部屋の扉を開けた。
それが今から10分前の事である。現在廉造は金造に続きを促され非常に困惑していた。散々非難と罵声を浴びせたのだが全く聞く耳を持たない。それどころか扉を閉めてズカズカと足を進め、同じベッドの上に座り、言った言葉が「早よう続きは?」だった。
「な、ななな何を言うて…」
「そおいや見たことないなー思って。ちょうどええから兄ちゃんに見してみ」
普通そんなものは一生見ないものだとか、だいたい用があって訪れたのではないかとか、言いたいことは山ほどあったのだが張りつめた中心が気に障ってしょうがなかった。
「チッ。あーもうさっさとせえやホラ!」
そんな姿に痺れを切らした四男は、弟の手を股関に持っていきムリヤリ行為を再開させた。
「ちょっ!! ァ、なにすん、っ」
「うわ、汁すごっお前どんだけ溜めとんのや」
実際動かしているのは手を上から重ねている金造だが、まるで自分がしているかの様な錯覚から廉造は普段に無い興奮を覚えていた。いくら身体を繋げたことがある相手とはいえ、さすがに身内にこんな場面を見られて平気なほど達観してはいない。この状況に抵抗感があるのも確かだが、与えられる刺激にだんだん理性も薄くなっていった。
「ん…っ、はぁ… あ、」
「廉造やらしーな、俺もう手ぇ止めとるけど」
「ぁ…?う、うそ、」
「嘘やないって」
言われた通り、いつの間にか廉造は一人夢中で自身を扱いていた。とんでもない醜態に顔がカッと熱くなる。
「!いっ、ッやや、」
反射的に隠そうとするが、両足首を掴まれ不可能となった。そのまま大きく開かれ、未だに水音でやかましい下半身を凝視される。
「ぅ ぁ、あ…!」
見られている。金兄に。
それだけで爪先から腰にかけて甘い痺れが走って、全身が震えた。やめたいのに手が止まらなくて、上下に擦るたびに先走りが溢れぬるぬると滑りを良くした。
「ッひ、ア、きっ 金に…!み 見んといて、」
「………。」
金造は無視した。ますます廉造の足の間に顔を寄せたかと思うと、ふっ と息を吹きかける。
「! ん…っ!ン、んう、ッ」
廉造が苦しそうに眉をしかめて顔を横に背ける。これは絶頂前の癖のようなものだった。金造はいつもそれが気にくわなかったので、両手で頬をがっしり固定してこちらに目線を合わせる。
「やっ、やや、ァ、」
「嫌やないやろ、イくとこめっちゃ見といたるから遠慮せんでええで」
「だ、やめっ いやや…!ぃ、イってまうから、ァ、ああ、」
言いながら尚も下にある手は貪欲に快感を追い求めており、限界がかなり近づいていた。金造は廉造を真正面からとらえ、いつもより低めに囁いた。
「廉造、イけ」
「―――ッ!ひ、」
身体を一度大きく揺らし、か細い声を上げて廉造は白濁を溢した。その時の表情を金造はまばたきせず見つめ、記憶に焼きつけながら窮屈で開きにくくなったズボンのジッパーを下げ始めた。
end