(▼ひたすらちゅーちゅーキスしてるだけだよ)



ちゅ、と音がして、今さらやけど恥ずかしくなってきた。さっきまでケンカしとったはずなのに、俺と金兄は口と口をくっつけていわゆるキスというものを実行中。しかもくっつけるだけやなくて、俺の舌に金兄の舌がまとわりついてくるから、ぞわあっと肩が震えた。くちゃっ、てさっきよりも大きな音がして顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。ヤバイ隠さな。

「顔真っ赤やな廉造」

あーやっぱり言うてくる。

「…気のせいやって」

「嘘つけ」

もっと口開けや、て深く舌が入ってきて、口ん中であっちこっち行き来する。あんたの舌はどんな構造しとるんやまったく。

「ん…っふ、ぁ!」

あっちこっちする内に、上顎をなぞられて思わず顔をそむけた。アカン、これは俺、なんか耐えられへん。必然的に合わさっとった唇も離れるわけで、

「こら、なんで離すん」

金兄が不満げに呟いた。その声が予想外に色っぽくて、「なんでやないやろ!!」とか怒鳴る予定やったのに「や、やって、あの、えっと」と目を泳がして情けない返ししかできひんかった。いやせやけどおかしいやろ。なんで俺ちょっと悪いみたくなっとんの。そもそもなんで俺らちゅうしとんの。

「金に、」

「な…廉造、もっかい」

「え。」

「ん」

金兄の顔が近づいてきて、また口を塞がれた。金兄のと俺の唾液が混ざりあって口の中がいっぱいになり、反射的に飲みこんでしまう。不思議と嫌やなかった。そんで今度は舌を軽く噛んできよった。

「ぁが、」

「お前の舌やあらか」

そんでまた上顎を触ってくる。

「ふっ、ぅん…!、ん、」

こんな状態で呼吸しにくいのもあるけど、さっきから心臓がドキドキいって酸素がうまく身体に入っていかん。頭がボーッとする。苦しくて、せやけどそれ以上に気持ちようなってきて、胸がきゅうきゅう締め付けられる感じがした。これがいわゆる"切ない"ってやつなんやろか。

志摩廉造、15歳。こう見えても結構ロマンチストやし、初めてのキスは大好きなかわいい彼女と、それこそ夕焼けの誰もいない教室とか、そおゆう素敵なシチュエーションを夢みとったのに。

end
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