頬に当たる冷たさに目を覚ました。
「あ、起こしちゃった?」
「いざや……」
目をうっすら開けると、静雄の頬を優しげになでる臨也がそこにいた。月明かりに照らされたその姿はやけに幻想的で、まだ夢の中にいるのかと勘違いしそうになる。
「しごとは……おわったのか?」
寝ぼけているのか、若干呂律の回っていない声が幼く響く。臨也は笑ってしまいそうになるのをこらえた。
「終わったよ」
放っといてごめんね、と目元をなぞる臨也の手の冷たさに、べつに待ってねぇと悪態をつくのを忘れる。
「おまえの手、つめたい」
「心があったかいからねぇ」
「うそつけ」
どの口が言うのかとじとっと睨むと、臨也がははっと笑った。
「ひどいなぁ……シズちゃんはあったかいね」
寝てたからかな?と首筋をなでられてひやりとする。その手に擦り寄るように頬を寄せると、臨也が驚いたように息を飲んだ。
「シズちゃん?」
「でも、」
「ん?」
「ひとりで寝てたら、足が冷える」
だから、はやくあっためろ。
そう言うと、臨也は驚いた顔をし、ほんとシズちゃんて反則とかなんとか悪態をつきながらフトンにもぐりこんできた。外気そのもののような体温に抱き込まれて、体が震える。
「おまえつめたい」
「じゃあ、先にシズちゃんがあっためてよ」
「………ん」
ぎゅっと氷のような体に抱き着くと、臨也は固まった。一瞬空いてすぐにぎゅうっと抱き返される。それがひどく心地好くて、静雄は臨也の腕に体を預けた。
そうして2人が同じ体温になるまで、ずっと。
Please Warm Me
(シズちゃん?)
(くー…)
(……タチの悪い寝ぼけ方だなぁ)
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