プロローグ

煩いくらいの蝉の声。

『あ』

空には落ちて来そうなくらいの入道雲。

「秋ー」

庭には弱い位の風に揺れる風鈴。

『何ー?』

垂れてくる汗。
熱いと投げ出された手にはうちわ。

「お隣さんの小磯さん家から電話ー」
『はーい…!』

そして、もう片方には携帯電話。

『もしもーし…』
《っあ、秋?悪いんだけどさ…》

耳元では随分昔から聞いている声。

今日は炎天下の日。
手にはコンビニで買ったパン達やジュース達。

外は相変わらずの晴れ。こんな中、少女は自分の自転車に跨がり、炎天下の中、頬に汗を垂らしながら漕いで行った。

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