いつも一緒にいた。レッドとは対極のような存在だと言われたけど、間違いなく一番仲がよかった。マサラに同じ年頃の子供が少なかったこともあるだろうが、今では必然性を抜きにしたとしてもきっと一番の友達で、ライバルだったろうと思う。時には互いを意識し過ぎて喧嘩もしたけどいつも、大袈裟なんかじゃなく本当にいつも一緒にいた。11歳になり、学校は卒業式をむかえ、無事に成人として認められた。そして俺達は別の速度で別の仲間と別々に旅に出た。

「じゃあ、俺は行くぜ!またどっかで会おうな!」
「うん、バトル、しよう」
「次はぜってー勝つ!」

その時は一番夢見た道、1人のポケモントレーナーとしてお互いとライバルになれることが素直に嬉しかったはずなのに。

「レッド、遅いな…」

後ろを振り返ったら、名前を呼んだら、いつもそこにいたはずの奴がいない。それはあまりにも不安で…寂しくて……――俺は立ち止まってしまう。
目指すところはポケモンリーグで道は一本。俺が立ち止まるかレッドが追いかけてくるか。そうすれば俺の空いた隣は埋まる。それを求めて、俺とレッドがちゃんとまだ繋がっていることを確認したくて、俺の足は止まる。
ただ、レッドから俺に会いに来たことは、一度もなかった。長い旅の途中、何度もレッドが気になって待ち伏せる俺とは対称的に。レッドは自分だけの新しい道を歩いていた。……きっとそこに俺はいなかった。
ついにレッドがチャンピオンに登りつめた。俺を倒して。その瞬間、俺はレッドの道に俺がいないことを確信した。



君には僕が必要なんだと、儚い偶像を見ていたんだ


(馬鹿みたいだ)(1人で歩いていけなかったのは、)(俺だけだったんだ。)





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この間違いの間違いに気づくのはまた1年後の話。


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