「どうだった!?見てくれたか!?」
激闘を勝ち抜いたサトシがフィールドを出て、応援してくれていた旅の仲間との会話もそこそこに嬉しそうに向かったのはロビーのテレビ電話だった。
「何をだい?サトシ」
「なっ何って!…シゲルっ!!」
頬を膨らませるサトシが向かう画面の向こう、白衣を着たシゲルと呼ばれた彼は、冗談だよと笑った。
「君らしくて、とてもいいバトルだった」
からかうような態度から一変、優しく微笑んだシゲル。その賞賛の言葉に満足したのかサトシも満面の笑顔を返した。
「へへっ!ありがとう!」
「本当はそこで応援したかったんだけどね」
「いーよ!その代わり今やってる研究、終わったらまたバトルしようぜっ!」
「そうだね、久しぶりに」
なかなか会えなくなってしまった最高のライバル。久しぶりのバトルの約束と先程までの興奮も相まって絶対だぞ!と叫ぶサトシの声は段々大きくなっていく。
「煩いぞ」
と、それを後ろから咎める声が掛かる。
「わっ!すみませ……って、シンジ!?」
謝ろうと振り返ったサトシの先にいたのはついさっきまでフィールドで対峙していたもう一人のライバルだった。
「公共の場所だ。少しは周りのことを考えたらどうだ?」
「うるさいなっ!わかったよ!」
「サトシ、」
画面から二人の声とは全く違うトーンで名前を呼ばれてやっと目線を戻したサトシ。しかしシゲルの目線は既にサトシの後ろ、シンジとかち合っていた。
「あっ!えっと、シゲルはわかるだろ?コイツがシンジ!」
「ああ、さっきのバトル、素晴らしかったよ」
「どうも。」
「で、シンジ!こっちはシゲルって言って、オレの幼なじみで、ライバル!今は研究者やってるけどさ!」
「初めまして。」
その二人の目線を違う意味でとったサトシがお互いを紹介する。
「コイツのライバル…か」
「シゲル、すっげー強いんだぜっ!」
「今はトレーナーではないけれどね…道は別れたけど、君には負けないと思うよ?」
「そーだなっ!いつかシンジとシゲルのバトル、見てみたいな!」
どことなく噛み合わない会話はサトシには気付かれずに交わされる。
ライバル
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DP終了時に書いたのを放置してました。XDで再放送が始まったらしいので。