俺が黙々とジムの雑務に取り組んでいた時だった。窓からの光が突然遮られた。ただでさえ途切れかけていた集中力だったのに、視界の端で唐突に光が消えたのだから一瞬で意識を全て持って行かれてしまって、俺は仕方なく右手のペンを置いた。なんだなんだと怪しみながら固まりかけていた肩を回して伸びをしてから窓際へと重い体を動かした。
「………ゴルバット?」
と、その大きな影の正体はゴルバットだった。なんだなんだと再び思考を巡らしながらとりあえず窓を開けるとゴルバットは遠慮がちに中へ入ってきた。その瞬間俺はそのゴルバットが誰かのポケモンであることを理解した。なぜなら野生のゴルバットはこれほどおとなしくはないからだ。
そのゴルバットは少しずつ俺に近寄ると俺の周りを旋回し始めた。ぐるぐると回るそれを俺が首で追うと、ふとゴルバットの足に結わえ付けられた便箋に気づいた。なる程コイツは郵便係りだったらしい。しかし普通はボールを手渡しして後で見てねと渡す筈の花柄メールを自分一匹で運んでくるのだから、この宛先が俺で合っていたならば相当よく躾られているというわけだ。
「ゴルバット、おいで」
俺が片手を伸ばしてそう言うとそいつはやはりキチンと肩に止まった。片手で我ながら器用に便箋をゴルバットの足から外す。ゴルバットはそれを確認すると嬉しそうに一鳴きしてまた窓から帰っていった。
それを眺めてから俺は手元の便箋に視線を戻し、誰からかと幾分怪しみながら開けてみた。
そして数分後、俺は机の紙切れなんかに目もくれず、ピジョットに飛び乗ることになった。


思いがけないラブレター

(グリーン、大好き)
(差出人のないそれは、見慣れた子供っぽい字だった。)


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緑赤です。赤出てこないけど緑赤です!←


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