「グリーン何散らかしてんの」
僕が久しぶりにグリーンを訪ねると分厚い本を部屋いっぱいに広げていた。
「おー!レッド、こっち来いよ!」
「何なのコレ、邪魔」
僕がそれらを避けて招かれるままにグリーンの傍まで行くと、
「アルバムだよ、アルバム」
と言って楽しそうにページをめくった。
「随分古いね」
「なつかしいだろー?」
なるほど目線をグリーンの手元に移すと小さな僕とグリーンが写っていた。グリーンのアルバムな筈なのに、どの写真にも2人揃って写りこんでいることは、僕の思い出を裏付けた。
「沢山あるね」
「ねーちゃんが割りと熱心に撮っててくれたからなー」
「ふうん」
僕もペラペラとグリーンに倣って手遊び程度に眺めてみる。泣いてたり笑ってたりころころと表情を変える写真の中の僕。僕らの年齢では思い出の数なんてタカがしれているというのに酷く懐かしい気がした。
「お?見ろよレッド、ネガ出てきたぜ」
「ネガ?あ、ホントだ」
「アルバムに貼ってねーやつとかか?」
そういってグリーンは窓の光に茶色のネガを翳した。おー、と感嘆の声をあげて見ているグリーンの瞳にそのネガを透った茶色の光が映って蜂蜜色に輝いていた。
「……綺麗」
思わずその色に見入っているとグリーンの何が?という問が耳を通り過ぎた。僕が反応に遅れて返答を返さないうちに、グリーンは自分の中でさっさとその疑問を押しやってしまったらしい。そういえば、と次の話題を提示してきた。同時に僕の方を向いてしまったその綺麗な緑からは蜂蜜色が消えてしまったけれど、写真の中の僕なんかより、今の僕を映した緑の方がうんと綺麗だ、なんて馬鹿なことを考えて、苦笑を隠すのにグリーンに何?と聞き返した。


蜂蜜色の思い出

(トレーナーハウスの前にゲンゾーがいたな!撮ってもらおうぜ!)(…しょうがないなー)


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考えなしに書き始めるのは悪い癖。


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