好きだと叫んだ。僕の目の前で、僕に向かって、彼が。必死な顔で訴えかける彼とは逆に、どこか自分とは関係のない事象に思えてしまうのは仕方のないことだ。
「っ……レッドさん?」
だって僕はどうしたって、彼をそういう対象には見られない。
「なっ…なんか言ってくださいよ」
「…ごめんね」
少しずつ小さくなっていく声に僕が与えた解答はお決まりの断りの言葉。そう言えばこの会話は終わる筈だったのに。
「……やっぱり、グリーンさんと」
彼はそう言葉を続けた。何故ここでグリーンが出てくるのかとも思ったが、その疑問は一瞬で解決した。なる程僕の世界はとても狭い。
「……グリーンも、そういうのじゃ、ないよ」
「も、ってことは、僕は恋愛対象じゃないってことですか…って…そうですよね…男を恋愛対象においてるなんて変な話なんだ」
こうやって一人で話を進めてられてしまうのはよくあることだ。その点でやはりグリーンが引き合いに出てくるのは正しかったのかもしれない。
「……君は、僕には、あまりに、白過ぎる」
僕の言葉に今にも泣き出しそうな目でポカンと見上げてくる。
「…なんで、レッドさんがそんなに泣きそうな顔、してるんですかっ」
「……君が…羨ましいよ」
僕らの生まれた町を何色にも染まっていない真っ白の始まりの町だと称したのは誰だったろう。僕が目の前の彼のように、まだ純白の存在で居られたなら、何が変わっただろう。もしかしたら、彼と交わって笑っていられただろうか。
「………レッドさんは、狡い」
彼の金色の目からこぼれ落ちた雫は、どこまでも透明に澄んでいた。


どこまでも白く

(ねぇグリーン、君に会いたい)








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