「わ………」
普段あまり声に出さないレッドさんの感嘆の声が僕の隣でした。隣を見てみると、上半身をぐるりと反対向けて、食い入るように窓の外を見ている。
「速いでしょう?」
僕がそう聞くと、うん、リザードンより速いのは初めてだ。といつもより口調早足に返してくれた。まるで子供が靴を脱いで椅子にあがるように(いや、今にもそうなりそうだ)窓の外に流れるように走る景色を見つめるレッドさんは随分子供っぽく見えて、なんだか顔が緩んできた。
「あとどれくらい?」
「着くのですか?もうすぐだと思いますよ?」
これも僕が小さい頃の口癖だった気がする。僕のほうを見ないままレッドさんがそう尋ねるのはこれで三度目だ。僕も一度窓の外を見て周りの景色が山並みから街に変わりつつあるのを確認して、本当にあと少しだな、と確認をした。

ピンポーン…コガネーコガネー
アナウンスがかかって今まで流れていた景色が止まる。辺りは見慣れた賑やかな街だ。
「降りますよ、レッドさん」
きょとんとしているレッドさんの手を引いて促すと渋々といった風に窓から離れた。
「また帰りも乗ってかえりましょうね」
「うん………ヒビキ、」
駅を出たところで急にレッドさんが足を止めた。
「ありがとう」
レッドさんが微笑みながらそう言ったから、僕はわざわざリニアに乗ってきたかいがあったな、と笑って返した。

リニアに乗って

(レッドさん子供みたいですねー)(……うるさいな)





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