「ったく…ありえねーだろ」
「…何かあったの」

昼休み、いつも僕の机まで来て前の人の席を乗っ取ってはお弁当やら購買のパンやらを食べていたグリーン。僕はグリーンがそうしてくれると、とても気分がよかった。(それはきっと彼がご飯をわけてくれるからだ。)それなのに、今日はグリーンは僕に謝ってから、確か誰かに呼び出されたのだと言ってお弁当の前に教室を出てしまったのだ。おかげで馬鹿な奴には絡まれるし、お弁当が微妙に足りない、なんて事態が起こってしまった。これはひとつ文句でも言ってやろうとグリーンを机に突っ伏しながら待っていると、帰ってきたグリーンは、頬を腫らしていたのだ。

「ぶたれたんだよ、見てわかんだろ」
「…うん、凄くわかりやすいよ」
「やっぱりか…ちくしょ…あの女」
「…女の子?」
頬を擦りながらブツブツと何か言いながら、グリーンはやっといつもの場所に落ち着いた。そこで、僕は引っかかった言葉を復唱してみる。すると、グリーンから返ってきたのは
「カノジョ!」
もっと聞き流せない単語だった。
「え、グリーン彼女いたの?」
「いたんだよ、今さっきフられたけどな」
「…僕知らなかった…可愛い子?」
「んー…まあまあ?付き合ってって言われたから付き合ってみただけだよ」
「…グリーン、以外と酷いね」
少し、ほんの少し興味深い、否、面白そうな話に僕が食いつくと、グリーンは意地の悪そうな顔で笑ってペラペラと喋ってみせた。
「…あれ?でもグリーン昼も帰りも、休日まで僕といたじゃん」
「だからそれが原因なんだろ?もっと構ってよ!だとよ」
しかし僕が全く気づかないくらいだから、グリーンの生活はなんらその“彼女”の影響を受けていなかったのだろうと思う。素直にその疑問をぶつけると、何とも女っタラシみたいな台詞が飛び出した。
「…変なの」
「よかったんだよ、俺初めに言ったしなー『レッド以外の物は優先しない』って」
それこそその“彼女”のような子が聞いたら卒倒しそうな甘い台詞をすらすら吐いてしまうこの口をどうしてくれよう。多少なりとも呆れや同情なんかも含んだ僕はイヤミのつもりで何を言ってやろうかと思考を巡らせる。

「そんなに僕といたいなら、僕を“彼女”にすればいいのに」
僕としては冗談で、からかい半分で、なんの意味もない浅いイヤミだったのに、それを僕が伝えた途端、グリーンは変な沈黙を作り出した。
「…グリーン?」
「冗談で、そういうこと、言うな」
少し語気の強まった言葉に、えっ、と僕がその意味を上手く咀嚼出来すにいると、グリーンは立ち上がって、僕の頭を思い切りぎゅーっと押して、ぐしゃぐしゃにして(おかげて僕の視界は机だけ)
お前はそんな安かねーよ
一言ぼそりと僕には聞こえない声で呟いて、顔洗ってくる、と再び教室を出て行った。

優先順位


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わりとこんな感じのも好きですー。赤を混乱させたくなくて言わない緑と無自覚な赤。
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