「N、僕アイス食べたい」
「えっ」

やっと春が来たと思ったら食べたくなった。などと言う目の前のブラック。確かヒウンのいつも行列のできているあのアイスを食べ損ねたまま冬になってしまったとぼやいていたから、それのことだろう。
「N、アイス、アイス!」
「僕はアイスじゃないよ、ブラック」
「煩い。屁理屈。アイス」
「食べてくればいいじゃないか」
ブラックは時々酷い。まあそれは置いておいて、ブラックがこうも僕にアイスを強請る理由がわからない。別に金欠というわけでもないだろうし。
「この前ノーマル物理技覚えさせるのにそらをとぶ忘れさせちゃった」
ああ、そういうことか。以前彼を色々な所へ運んでいた彼のわざ構成が変わったらしい。つまり歩いて行くにはあまりに遠くて面倒だってわけだ。
「え…と、レシラムに運んでもらう?」
「えーっ?いいの?やったー!」
そういう答えに誘導したのは自分のくせにそういうことは横に置いておいて嬉しそうにはしゃぎだすブラック。僕もそれを知らん顔してレシラムを外に出す。
「ごめんね、ブラックの我が儘に付き合ってあげてね」
「我が儘って何だよ」
レシラムは一鳴きして快く屈んでくれた。僕はブラックの言葉を無視して飛び乗った。
「ほら、ブラック、行くんでしょ?」

空を飛ぶとまだ冷たい風が頬を刺すけれど、背中に確かな温もりを感じて、僕らはヒウンアイスを目指した。


はるうらら

(ホントはボックスのウォーグルを引き出せば良かったなんてことは内緒)


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私は10月に買ったので春は初めてです。そして春要素皆無。


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