「レッド先輩!」
「ゴー!久しぶり!」
「久しぶりッスね!」
久しぶりにカントーまで行ったら運よくレッド先輩を発見した。なんて嘘だ。レッド先輩に会いにきて、レッド先輩を探してたんだから。
「どうしたんだ?カントーまで」
「別に、なんとなくッスよ!なんとなく!」
「ふうん?じゃあ今から時間あるのか?」
俺はレッド先輩のこういうところが好きだ。なんの約束がなくても、俺が変な下心引き連れてても、少し悲しい気もするが、きっと誰だってレッド先輩はいつでも嫌な顔ひとつせず、じゃあ一緒にって予定を作ってくれる。
「全然大丈夫ッス!」
「そっか!じゃあ一緒に来いよ、俺今から、」
そして…俺はレッド先輩のこういうところが嫌いだ。
「グリーンのところに行くんだ!」
なんて甘い響きで奏でるんだろう。アイツの、名前を。無意識のそれは意識の上で行われる所謂ノロケとかいうものよりもずっとキツい。
「やった!じゃあ一緒させてもらうッス!」
「はは、ホントになんの用もなく来たんだなー」
笑う先輩の横を邪魔することを目的としてついて行く俺。きっとアイツには嫌な目で見られんだろうな、なんて嘲笑しながら。

「あ、グリーン!」
「レッド!………それは」
「ゴールドとさっきそこで会ってさ!予定ないって言うから一緒にって誘ったんだ!」
「……そうか」
案の定物凄い視線を向けられた俺は思いっきり笑顔を向けてやった。
これは俺がレッド先輩の放つ甘美なアイツの名前をいつまで聞いていられるかと、グリーン先輩がいつまでレッド先輩に合わせていい先輩を作っていられるかの、男同士の大決戦だ!

あなたが愛しそうに呼ぶ名前

(それでも本当は今すぐ逃げ出しそうだったんだ)








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